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さなえside 萌葱と緋色の二人は双子。二人とも顔は良く似てる。性格はどっちかと言うと緋色の方が大人しく萌葱の後ろに隠れちゃうような子だった。 高校生になった今でこそあんなに明るくなったけど小さい頃は心配してた。 そんな二人は今同じ高校で部活は違えどそれぞれ好きなことをして汗を流している あの高校は成績によりクラスが分けられているため学力に差の無い二人はずっと同じクラス。同得点でトップなんていうのはざらである 萌葱はそれに加えモデルもしてるためかなり忙しくしていて朝から起こすのはいつも緋色の仕事だ。 「おはよ。さなえ」 「おはよ。茜」 「相変わらずあいつらは慌ただしいね」 「ね。」 「何かあいつら見てると俺見てるみたいで何かね」 「あはは!そうかもね」 二人は高校時代の茜の生き写し。そっくりなのだ。違うのは執着している相手が今のところいないところかな 「おはよぉ。父さん母さん」 「こう、おはよ。今日は早いんだね」 「今日は午前中撮影が入ってて午後から講義だよ」 「そっか。」 「蒼にぃは?」 「まだ寝てる。これから起こしに行くよ」 「そ。蒼にぃ寝起き以外は完璧な自慢の兄なのになぁ…」 長男の蒼人は寝起きが悪い。やっと思い人であった藍瑠くんを見つけ出して落ち着いてきたところではあるが今日は藍瑠くんが九州にあるお父さんのお墓に行くため家にいないらしく久しぶりにここにいる。まぁ今日の昼前には帰ってくるんだけど 「蒼ぉ起きてぇ。朝だよ。藍瑠くん迎えに行くんでしょ?」 「うっせぇ…」 「蒼!藍瑠くん帰ってくるんでしょ!!」 「うっせぇんだよ!くそばばぁ!!」 「んな…相変わらず寝起きは最悪だねぇ蒼。藍瑠くんに言いつけちゃうぞ!」 「うっせ…」 「あーおくん…」 「…っ…父さん…」 「ふふ…だぁれにいってるのぉ?」 「ご…ごめんなさい…」 「起きなさい。じゃないと藍瑠くん拐われちゃうよ。可愛いんだから」 「はっ!それはだめ!」 「早く準備しろ。家にいるときくらい一緒に朝食摂る。わかった?」 「はい…」 相変わらず茜には弱いらしい…最初から茜が起こしに来れば良いのにこのやりとりが楽しいらしい茜はいつも俺に起こさせる… 「母さん!俺の弁当は?」 「テーブルの上」 今声を掛けてきたのは四男の中学生。翠。 翠はかなりのしっかりもの。背伸びしたいお年頃でクールぶってる。 「マァマーご飯食べようよ。」 「はいはぁい。今から行くね」 リビングに戻ってみんなで食卓を囲む。 「ひいももえも朝練じゃなきゃねぇ」 「仕方ないよ」 「よぉし。そろったかぁ。んならみんなで手を合わせて。いただきます」 茜の声に合わせてみんなで“いただきます”するのが木築家の決まり事。みんな文句ひとつ言わず

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