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しかも大袈裟に言っているわけでなく、寸分の狂いなく本心なのだからまた恐ろしい。
「もう大変だったんだよ~。ドゥーガルドは『……俺がいたのに助けられなかった』ってすっかり沈んでごはんも喉に通らない感じだったし、アーロンは必死で三日三晩寝ずに探してぶっ倒れるし~」
「え?」
チェルノの言葉に驚いて目を丸くする。
「ばっ、バカ! 言うなっ」
何かの冗談かと思ったが、慌てた様子で悪態をつくアーロンに、どうやら本当であることを察する。
い、意外だ……!
絶対に「流される方が悪い」とか「荷物持ちのくせに足を引っ張りやがって。絶対俺は探さねぇ」とか言って俺の捜索には協力すらしていないだろうと思っていた。
驚いてまじまじと見詰めていると、アーロンはバツが悪そうに舌打ちをして顔を逸らした。
「別にそこまで必死に探してねぇし! チェルノは大袈裟に言いすぎなんだよ」
「あー……、でも探してはくれたんだな。その、えっと、とりあえずありがとう?」
すっかり毒気が抜かれて、ひとまずお礼を言うとアーロンがキッと睨み付けてきた。
「だから別にそこまで探してねぇって言ってるだろ! 自惚れんなっ。というか、俺が探してたのは荷物持ちであって、お前ではないからな! 勘違いすんなよ!」
「は、はーい、了解でーす……」
なんでそこまでムキになるのか分からなかったが、言い返すとさらに面倒そうなのでとりあえずフェイドアウトしてズボンを穿くことにした。
「……あ、下着はここにある」
「だからなんでお前が所持してるんだ!」
コートのポケットから、きれいに畳んだ俺の下着を取り出したドゥーガルドに、愚問だとは思いつつも突っ込まずにはいられなかった。
「あ、そういえば」
「ん?」
思い出したようにアーロンが言ったので振り返った。
「一日一万ピーロかけることの八日分で計八万ピーロな」
「……は?」
いい笑顔で手を俺に差し出すアーロンに俺は顔を思いっきり顰めた。それが何の数字かは大方予想はつく。しかしまさかと思って訊き返したがやはり予想通りの答えだった。
「捜索代だ。探し出してやったんだから当然の報酬だろ」
「そんなバカな請求あるか! というかさっき探してないって言ってたじゃねぇか!」
「あれはあれ、これはこれだ」
「暴論にもほどがあるだろ!」
本当にこいつは根っからの守銭奴だな!
俺を必死で探してくれたとのことで、少し見直していたのだが、やっぱり根は変わらないようだ。
「うるせぇ! いいからさっさと払いやがれ! 金がねぇなら体で――」
「わふっ!」
めちゃくちゃを言うアーロンの手に、後ろから飛び出てきたクロがガブッと噛み付いた。
「……ッ、いっ、てぇぇぇ!」
「ばふっ」
アーロンが叫ぶとクロは口を離して、得意げに鼻を鳴らした。
正直、グッジョブと思った。
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