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弁当男子
目つきの悪さとゴツイ体格が災いし、目が合うのも嫌とばかりにクラスメイトに露骨に避けられる。
声を掛けただけなのに睨まれたとか、腹の居所が悪く殴られたとか、一度もしたことがない噂は絶えずある。
いちいち訂正をするのも面倒なので放置した結果、不良でぼっち決定だ。
遠巻きにされるのがはじめの頃は寂しいと思ったけれど、二年になり新しいクラスとなってからはどうでもよくなった。
昼飯はいつも屋上で食べる。教室は居心地が悪いからだ。
弁当の中身はバランスよくおかずが詰められている。忙しい両親の代りに家事をしてきた。今ではそれが趣味となりつつある。
「美味そうだな」
ふいに声をかけられ、いつものように睨みつける。大抵の奴等はその顔にビビって逃げていくのだが、その相手は違った。
しかも、葉月悟郎 と、フルネームで呼ばれた。
「僕は神野聖人 。葉月と同じクラスだよ」
クラスメイトを覚える気など無いので、名前を告げられてもどうでもいい。俺は無視して弁当を食べ始める。
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