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第4話

「いい加減、機嫌直してください」  イッた直後は解放感から放心状態になっていた優弥だったが、その身体を綺麗にし終わったころには、ふて腐れていた。  鍵のことで嘘をついたのを根に持っているらしい。  すでに昼休みになっているというのに、千歳は女王様の許しが貰えず謝り続けている。 「本当にごめんなさい! 反省してます!」 「……しないだろうな?」 「……え?」  もう何度目になるかわからない千歳の謝罪の後、ボソッと優弥から言葉が返ってきた。 「もう、あんな嘘はつかないかって聞いてんだよ!」  何も答えずにいた千歳に焦れたのか、優弥が大声を出す。  それに慌てて千歳も言葉を出した。 「つきません!……許してくれるの?」  下げていた頭をあげて千歳が聞くと、優弥はため息を吐いてから答えた。 「今度同じことしたら、絶対に許さないからな」  口をきいてくれたということは、ほぼ許しがでたということだろう。このチャンスを逃すわけにはいかない。 「わかっています……はい、お詫び」  素直に答えて千歳は、来る時に買ってきたミルクティーを優弥に渡した。  人肌ほどの温度になったそれなら、散々声をあげた優弥の喉にも辛くないだろう。 「……しょうがないから、貰っといてやるよ」  口ではそう言いながらも、優弥はどこか嬉しそうだ。 (本当にミルクティー、好きなんだな)  缶のミルクティーを両手で持って飲んでいる優弥に女王様の面影は見えない。 (この深海を……自分だけのものに出来たなら……) 「深海……」 「ん?」  振り返った優弥の肩を掴み、千歳はその唇にキスをした。  もっと抵抗されるかと思ったが、意外とおとなしく優弥はキスに応えてくれた。  ミルクティーの味がするキスを終えると、優弥は顔を赤く染めて怒った。 「いきなり何すんだ!」 (……深海。何でそんな女王様らしくない表情を俺に見せるんだよ。お前が俺をそばに置くのは、身体の相性がいいからなんだろ?)  優弥が本当に変わってしまったなら、完全に遊びだと割り切れるのに、時おり見せる昔の純な面影が千歳を苦しめる。 「……もう少しでいいから」  千歳はそう言って、優弥を腕の中に抱き締めてその肩へと顔を埋めた。 「高瀬……?」 「このままで、いさせて」  小さく呟いた千歳の言葉に、優弥は力を抜いてその身体を千歳に預けた。 (お前にとって俺は、大勢いる中の一人でしかないってわかっているけど……)      もう少しの間……      下僕でいさせて下さい。

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