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第32話 ご当地SS(東京編)

「はい、お土産」手渡されたうなぎパイ。 「あ、私も」萩の月。「俺も」ちんすこう。「はーい」白い恋人。「いつものだけど」もみじ饅頭。 賀詞交歓会ならぬ菓子交換会が始まる、正月休み明けの職場。 いつももらう一方の僕は少々肩身が狭い、だけど。 マンションの窓越しに夜空を見上げて君が言う。 「ああ、やっぱり、三が日だけだったな、3等星まではっきり見えたのは。」 「そうだね、もう車もいつも通りだし。あの会社、まだ明かりついてる、ブラック企業。」 僕は彼の目線の先の下、首都高速に目をやって、テールランプの軌跡を見た。 この街は、僕らが生まれて育って、出会って暮らして、帰る場所。 ----------------------------------- #ご当地SS #SS名刺メーカー 地名縛りのSSで「東京」で参加したもの。 ハッシュタグ「#ご当地SS」で、他の方の作品も是非。旅行気分で楽しいですよ(笑)

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