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第11話
5年前の卒業式後、約1年間は樹からの連絡が頻繁にあった。会って食事をしたり、体を繋げたりすることもあった。
陽介にとって、それはあまりにも予想外で、常に面食らった状態だった。けれど、それらは自然で、日常に溶け込んであり、陽介は思わず、もしかしたらこのまま関係が続いていくのかもしれないと思ってしまった。
しかし、2年目になり、アルバイトを増やしたと言って連絡が少なくなっていった。それに比例して会うこともなくなり、3年目には連絡もなくなった。
やっぱりな、と陽介は思った。
樹は気づいたのだ。
自分が世界だと思っていたのが、ただの箱庭に過ぎず、もっと綺麗に輝くものが目の前に広がっているのだと。
陽介が自分から連絡することは、なかった。
耀かしい未来から、樹を引きずり下ろすことだけは、したくなかった。
閉鎖空間しか知らずに、まだ何の判断もできない樹と、関係を持ってしまった自分への戒めだった。
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