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第155話
美空は俺たちの前では決して涙を見せず、ただひたすら唇を噛みしめ悲しみに耐え父親を支えていた。
美音さんがなくなって直ぐのこと。体育の時間に美空の体に赤黒いアザがあるのを見つけた。
「これ…どした?」
「あぁ…ぶつけた?」
んなわけあるか…そう思うような痣…でも言えなかった、
日に日に酷くなる痣にとうとう俺は美空を自宅に連れ込み自室のベッドへ投げた。
「やだ!!やめて!!睦月!」
着ていた制服を乱暴に脱がす。
「これ…ぶつけたじゃ出来ねぇだろ!何があった!!」
「何もない!!ないよ!!」
震える美空の姿に我に返る
「ごめん…美空…」
そのまま抱き締め髪を撫でる
「美空の苦しそうな顔見てらんない…ねぇ…話してくれない?」
「…父さんが…壊れた…」
「え?」
すごくカッコ良くて優しくて…俺の理想の陽平さんがそんなこと…
でもあの溺愛していた美音さんが突然いなくなればそうなるのもわかる気がした
「もうさ…俺…母さんにもなろうって思って…そしたらこれは無くなるのかも知れなくて…」
「そんなことして…お前は平気なのか?」
「父さんが…苦しい顔することの方が嫌だ…」
「そう…何でも話せ。いつでも聞いてやるから…話せば楽になることもあるかも知んないし…ん…あれ?この痣…」
殴られたものとは違う痣が服を着ようとしている美空の背中にある
つーっとそれをなぞるとピクリと震え
「あっん…」
甘い声…
「お前…これ…」
「外に行くとね…こんな俺でも欲しがってくれる人っているんだ…」
「それって…」
「俺ね…セックス大好きで…それをやってるときは満たされるの…ごめん…軽蔑するよね?」
「…」
何も言えなかった。
見知らぬ相手にムカついた…
「なぁ…美空…」
「何?」
「その相手は俺じゃだめか?」
「え?」
「知らないやつに不特定に抱かれることって病気とかのリスクあがるだろ。だから俺にしろって言ってんの」
「そんな!睦月にそんなことさせらんないでしょ!お前を汚しちゃう!俺汚いし」
「汚くねぇ。俺にしろって」
「いや…ごめん…」
「…俺はお前のこと汚いなんて思わない。だから…考えて」
「だめだって。じゃあ…今日は帰るね」
「あぁ…」
美空の安定を与える行為…美空の乱れる姿…想像して…苦しくなって…見送りに出られなかった
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