1 / 4

プロローグ

始まりは暑い夏の日の出来事だった 「えっ、今なんて...?」 「そのままの意味だ別れようぜ」 俺は偶然、恋人同士の別れ話を聞いてしまった 人があまり寄り付かない校舎裏で 来た理由は特に無い 唯一校舎内で行ったことが無い場所だから、ただそれだけだった ...なのに 「な、なんで理由もなくいきなり私がフラれなくちゃならないのよ!ちゃんと説明してちょうだい!」 「んー、そうだな理由としては」 どうして恋人の別れ話を聞かなくちゃならないんだ! 校舎裏へ続く曲がり角の壁に背中をくっ付けながら後悔をする 「お前、浮気してんだろ知ってんだよ」 俺みたいな色男を掴まえといてよくやるよな、と男が呆れたように言う ...い、色男って自分で言うか?普通 随分と自信満々に言うもんだから一体誰が話してるのか気になってしまった 体の向きを変えて壁に頬をくっ付けながら二人を見る アイツは... 黒宮じゃねぇか! 誰か分かった途端にこの場から離れたくて仕方ない衝動に駆られる 女の子を落としてはすぐにポイしてひたすら女遊びを繰り返す正真正銘のクソ野郎 しかもドSで腹黒だとも聞いた さすがに男には何もしてこないとは分かってても、もし見つかったらどんな方法で口止めをされるか... 考えるだけで冷や汗が垂れてくる ま、まぁまだ見つかってないだけマシか とにかく今すぐにでもこの場から離れようと思い、体を回れ右する そしてそれは右足を出したのとほぼ同時のことだった グイッと左肩から体を後ろに向けさせられた 「おい、何逃げようとしてんだよ」 俺の左肩を掴んだのは黒宮だった

ともだちにシェアしよう!