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第1話:再会
ある日の昼間。ルナベルはいつもの様に明るい日差しを避ける様にパーカーのフードを深く被り、家から仕事に向かって歩いていた。せっかくの休みに仕事に呼び出されたのだ。道を曲がれば裏道に入るという所で、ルナベルは長身の相手とぶつかった。ルナベルは140ちょいと、ぱっと見小学生程度にしか見えない。また仕事着にしている服は露出が多い為ルナベルはどう見ても売春少女にしか見えなかった。ふらっとなり、尻餅をついてしまったルナベルに対してその大男は一瞬じっと見つめてから声をかけてきた。
レブナント「悪い悪い。大丈夫かァ?小さすぎて見えなかったわ...お前、チビだな。ちゃんと食ってんのか?あ、そうだ。なんか食いに行かね?1人じゃ詰まらねーと思ってたとこなのよ。イイだろ?な?」
ルナベルからしてみれば、仕事に行く所に誘われただ迷惑極まりないだけだった。眉を潜め、どいてくれなさそうな相手を面倒だと思いながら下から見上げていた。どうしようかと考えを巡らせているとその相手はスタスタと歩き始めた。いつまでも考えていても仕方ない為ルナベルはゆっくりと立ち上がり埃を叩くと警戒心を露わにしたまま距離を置きつつ、ついて歩いた。少し歩いた所でその相手は不意に立ち止まり、クルリと自分の方を向きマジマジと顔を見つめてきた。怪訝そうにルナベルが眉を顰めると、相手は更に近寄ってきた。いきなりの事に振り払えなかったのをいい事にその相手はいきなりルナベルの上着を捲った。流石にこれにはルナベルも黙ってはいなかった。
ルナベル「...なにしやがる!!離せっ!!」
ルナベルの胸元には両親が殺された時に出来た傷があった。それを見つけられる事はルナベルにとってどんな事をされるよりも嫌な事だった。その相手は確認する様に傷を見るとニヤリと笑い、ぱっと手を離した。それからルナベルに向かって話し始めた。
レブナント「...やっぱり、どっかで見た事あると思ったんだよ。お前の顔を見た時から。お前さ、小さい時親が殺されたろ。その生き残りの子供だよな。オレ、そん時見てたんだよ。わけあって逃げたけど。」
ルナベルは興奮気味に荒い息を吐きながら少しの間相手をじっと睨みつけていた。見ず知らずの男に、それも今さっき会ったばかりの相手にそんなことを言われて簡単に信じられる訳が無い。 暫く幼少期の記憶を辿っていくと漸く窓際で覗いていた少年がいたことを思い出した。ルナベルが全て思い出す頃には相手はタバコを吸った後に近くの店に入ろうとしていた。ルナベルは相手の後ろを素直について行き、店内に入った。店内は案外賑やかで混んでいた。あまり混んでいるのは好きではない為アチコチ見渡しているとルナベルは先ほどの相手に呼ばれた。
レブナント「おいチビ、こっち。好きなもん頼め。オレ先に座る」
気に入られたのか、ルナベルに会計を任せ席に座ってしまったので仕方なく飲み物を頼んだ。そして、相手を探し席についた。相手の席は暗くしてあった。席につくと相手は着ていた服を脱ぎ、足を組んでいた。それを見つつ、ルナベルはパーカーのフードを脱いだ。そして思っていた事をボソリと呟いた。
ルナベル「せっかちだね、君は」
レブナント「そうかぁ?オレはいつもどーりだぜ。にしてもあっちぃな...何とかならねぇのかね」
ルナベル「...まぁ...仕方ないよ。...何かあるの?」
ルナベルはつい、タメ口で馴れ馴れしく話している事に気がついた。だがふと気がついた時には遅く訂正も変かとそのままにすることにした。それよりもルナベルは相手の服装や脱いだ時の身体の色が気になっていた。だが、安易にも聞けず黙っていた。こう見えてルナベルは医療の勉強をしていた事がある。その為少しでもそういう事があると気になるのだ。暫くして食事が来ると2人は食事を取った。食べ終わるとルナベルは帰ろうとした。だが、相手が絡んできた為ルナベルは仕方なく夕方にもう1度会う約束をした。この頃にはルナベルにもまたあってもいいかという位の興味が湧いてきていたのだ。帰り際に漸くお互いの名前を聞き、連絡先を交換した。そしてやっと彼とわかれて歩き出した。
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