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本物★
なんとなく普段よりも念入りにお風呂で中を洗ってから、佳暁様の寝室に向かう。
風呂はオレが最後だったので、寝室にはすでに三人が待っていた。
いつも通り、全員が揃った所で着ている物を脱ぎ、ベッドに上がる。
最近なんとなく出来つつある流れで、聡に後ろから抱きかかえられたオレと護に抱きかかえられた佳暁様が、触れそうに近い距離で向かい合う。
近付いてくる顔に自然に目を閉じれば、柔らかい唇がオレの唇に重なった。
佳暁様とキスしているオレに、聡が触れてくる。
時間を掛けて中を拡張している間に、聡はオレが感じるところを少しずつ探し出していたから、今ではオレ以上にオレが感じるところを熟知している。
ただでさえ佳暁様とのキスで気持ちよくなっているところへ、焦らすような微妙な力加減で感じるところを触られ、オレは耐えきれずに喉の奥から声をもらした。
その途端に佳暁様はオレから唇を離した。
なごり惜しいと思ったのが顔に出てしまったのか、佳暁様はオレをなだめるような微笑みを見せると、オレの乳首に手を伸ばした。
「あっ……」
佳暁様の手が伸びてくると同時に、右の乳首をいじっていた聡の手は佳暁様に場所を譲った。
佳暁様と聡、触り方がうまいのはやっぱり聡なのだけれど、それでも佳暁様に触られるとうれしいせいか、ひどく感じてしまう。
乳首からどけられた聡の手は、代わりにオレの後ろを探り出した。
オレが佳暁様を受け入れる準備をしてくれようとしているのを察して少し腰を浮かせると、自然に上半身が前に倒れて、まるで佳暁様にもっと胸を触って欲しいとねだっているような格好になる。
恥ずかしい上に、不自然な体勢だ。
それでも佳暁様に触ってもらって、佳暁様を受け入れる準備をしてもらっていると、期待もあって体がどんどんたかぶっていく。
やがて後ろに入れられていた指が抜かれると、後ろの聡がなにか合図をしたのか、佳暁様が小さくうなずいてオレから手を離した。
オレが聡の手で仰向けに寝かされている間に、護が佳暁様に手早くゴムを付ける。
横になったオレの顔を佳暁様がのぞき込む。
「今日までよくがんばったね。
久しぶりに本物を入れられる気分はどう?」
「うれしいです」
問いかけた佳暁様はちょっといじわるな口調で、もしかしたらそれは言葉責めの一種だったのかもしれないけれど、反射的にオレは素直な気持ちを口にしてしまう。
そうすると佳暁様は一瞬驚いた顔をして、それからにっこりと微笑んだ。
「そうだね。
僕もうれしいし、それに楽しみだよ。
お前ががんばって拡張してくれた中が、どんなふうになっているかがね」
佳暁様のストレートな言葉に、むしろ今度こそ言葉責めされたような気持ちになってオレが顔を赤くしていると、佳暁様はオレに軽くキスしてくれた。
そのまま佳暁様はオレに覆いかぶさって、ゆっくりとオレの中に入ってくる。
毎晩のように道具や指で中を刺激され続けていたけれど、本物が、それも佳暁様のものが入ってくる感触は特別だった。
また佳暁様を自分の体の中に受け入れられた喜びと、物理的な気持ちよさとで、オレはビクビクと体を震わせる。
オレの中に全部を収めきった佳暁様は色っぽいため息をついた。
「すごいね、この前と全然違う。
健太の中、僕のに絡みついてくるみたいだ。
本当に、すごくがんばってくれたんだね」
佳暁様の表情と声からは、言葉の通りにオレの中で感じてくれているのが感じられて、これまで恥ずかしい思いをしながらもがんばって拡張してきたのが報われた気がした。
そうして、佳暁様は オレの中でゆっくりと動き出した。
佳暁様はオレを抱いている時も、自分が抱かれている時と同じように声を我慢しなかったから、オレも我慢せずに感じたままに声を上げる。
やがて、佳暁様はオレの中で達した。
最初の時よりは随分中で感じるようになったけれども、まだ中だけでイクことが出来ないオレは、佳暁様に前を擦ってもらって佳暁様に続いて達する。
「ありがとうございました」
思わず礼を言うと、オレの上でぐったりしていた佳暁様が小さく笑った。
「こちらこそ、ありがとう」
そう言うと佳暁様はゆっくりと起き上がった。
「健太、次は聡に抱かれてみたくない?」
「……え?」
「僕に抱かれているお前がちゃんと感じていてくれて、幸福を感じてくれているのは分かったけれど、でもやっぱり僕は上手くも大きくもないから、物足りなかったんじゃないかと思ってね」
そう言われてみると、急に体の奥がうずくような気がした。
一番最初に抱かれた時も、そしてその後で後ろを拡張している間も、聡はオレのことをすごく感じさせてくれたから、こういうのは何だが聡が佳暁様よりもずっと上手いことは知っている。
それに一度だけ抱かれたあの時、初めてだったにもかかわらず、奥深くまで届く聡のものに散々乱れさせられたことを考えると、こうして中を拡張して十分に中で感じられるようになった今、あの大きなもので中をかき回されたらどんなふうになるのだろうと想像すると、自然に体温が上がる。
「僕も見たいんだ。
お前が聡に抱かれているところを」
それでも佳暁様と聡、それぞれに対する想いからうなずくことをためらっていたオレの背中を押したのは、佳暁様のその言葉だった。
佳暁様とオレが抱き合っている間はソファーベッドに移動していた聡が立ち上がりながら小さくうなずいてみせたのが見えたのもあって、オレはようやく「抱かれたいです」と言うことが出来たのだった。
最近眠るときによくそうしているのと同じように、オレと佳暁様が向かい合って横向きに寝て、その後ろにそれぞれ聡と護が寄り添う。
佳暁様に入れてもらったばかりでまだ緩んでいる後ろに、聡がゆっくりと押し入ってくる。
同じように護の方も佳暁様の中の様子を確認してから挿入しはじめる。
佳暁様の方は今日はまだ誰にも入れられてないし、入浴時に準備したきりでほとんどほぐれていないはずだから、いくら受け入れ慣れているとはいっても、護の太いものを受け入れるのは苦しそうだった。
思わず佳暁様に手を伸ばすと、佳暁様はすがるようにオレの手を握った。
「あっ…!」
その途端、それまでゆっくりと入って来ていた聡が、急に一気に全部を押し込んできた。
そのまま聡は中で動き出して、オレはもう佳暁様の表情を気にする余裕はなくなってしまった。
聡が与えてくれる激しい快感の中で、それでも握りしめたままの佳暁様の手のぬくもりも感じながら、オレは再び達した。
オレより少し遅れて達した聡がオレの中で小さくなったのを感じながら、護に抱かれている佳暁様が上り詰めていくその顔を見つめる。
やがて達した佳暁様は、オレを見て照れくさそうな顔になった。
佳暁様の手を握る手に力を込めると、佳暁様もきゅっと握り返してくれた。
こうしてオレたち四人は、本格的に新しい関係へと踏み出したのだった。
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