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第17話
「帷さん。明日の夜、もし空いてたらメシ行きませんか?」
画面に顔を隠すようにして、甘苦い記憶を振りほどくかのように返信の文面をつらつらと考えていたところへ、前方から突然声がかかりハッと我に返った。新谷くんだった。
明日の夜。
まさに今、どうやって返信をすればよいのか考えていた相手から指定された、次回の打ち合わせの日。
「ごめん。明日は打ち合わせがあって」
「じゃあ、……仕方ないですね」
また今度、ぜひ。そう言うと新谷くんは軽く頭を下げ、お先に失礼しますと薄手のコートを翻した。すらりとしたその後ろ姿を少しの間、眺めていた。
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