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第1話 兄弟、それぞれの思い

 知矢(ともや)はとても小さな赤ちゃんだった。 「未熟児ギリギリで生まれてきたのよ」と母さんは言い、 「典夫(のりお)ももうお兄ちゃんだな」と父さんは笑った。  二つになっても三つになっても、知矢は小さくてかわいくて、 『オレが知矢を守るんだ』って誓った。  いつもオレにくっついてくる知矢が愛しくてたまらなかった。  その思いは今も変わらない。  でも……。  いつからだろう。  思いが少しずつ変化していったのは。  そしてそれは、実の弟に抱いては決していけない禁忌の思い――。       🐈 『ねー、お兄ちゃん。こうして手を繋いで眠ったら、おんなじ夢見れるかな?』 『ああ、見れるよ。きっと』  そんな会話とともに手を繋いで眠ったのはいくつのときだったかな?  物心ついたときには典夫お兄ちゃんは傍にいた。  大好きなお兄ちゃん。  兄弟でも関係ない。  ……僕はお兄ちゃんに恋をしている。

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