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第10話 お兄ちゃんを思って……

 お風呂で髪を洗い終えた知矢は、横にかかっている鏡に自分の顔を映した。  なんとも頼りなげな女の子のような顔が映し出されている。  知矢と典夫は顔や体つきはまったく似てない兄弟だ。  お兄ちゃんはクールビューティーという形容がぴったり当てはまる美貌の持ち主だけど、僕はなんだかちんちくりんというか……。  それでも、と知矢は洗ったばかりの髪に触れながら思う。  髪質だけはとてもよく似てるんだよね。  お母さん譲りの少し茶色がかった真っ直ぐな髪。  だから知矢は自分の髪だけは大好きだ。  目を閉じて自分の髪に触れていると、兄の髪に触れているような気持ちになってくる。 「……お兄ちゃん……」  髪を撫でていた手を首筋から滑らせて、乳首へと這わせる。  お兄ちゃんの細く長い指でここを触られたい……。 (知矢……、気持ちイイ?)  脳裏で兄の顔と声を思い浮かべながら、知矢は自分の乳首をくりくりと指先で転がした。 「お兄ちゃん……お兄ちゃん……」 (知矢……、ここ、こんなになってるよ……)  兄を夢想しながら、知矢の手は自分の下腹部の昂ぶりへとのばされる。 「あ……、お兄ちゃん……や……」 (知矢……イッていいよ……) 「あ……ああっ……お兄ちゃんっ……」  知矢は自分の手の中に愛液を放った。

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