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第1章第7話

AKIside 「AKIお疲れ様」 司が水を差し出し ニッコ微笑みかける。 「有り難う司」 僕は水をごくごく 喉を鳴らし飲み干す。 今日は1日中雑誌の撮影で疲れた。 僕は司と一緒に スタッフに挨拶をし楽屋に戻る。 鏡の前に座り込むと目の前には もう1人の僕が…。 今の顔はモデルのAKI。 設定女性…でも本物の僕は 男で本名は早乙女暁(さおとめあき) 17歳。仕事するスタッフや関係者は 僕が男なのは知っているが世間は皆、 AKIは女だと思ってる。 まあ、そのおかげでプライバシーは 守られてるけど、顔はバレてるので 帽子は必需品。僕は慣れた手つきで ウイッグを外し仕事から開放された。 「疲れたろ?」 司はスケージュールを確認しながら ソファで寛いでる。 撮影が終わればいつもの光景。 「大丈夫、明日は?」 僕はメイクを落としながら 鏡越しに問いかける。 「明日は打ち合わせ 2本だけ午後1からな」 「はーい」 やったね!ココ最近撮影が詰まってて 少し疲れていたところ。 打ち合わせ2本なら直ぐ帰れる。 ついつい鼻歌なんか歌って全ての メイクを綺麗に落とした。 「は~スッキリした」 結構メイクするのは疲れるんだ。 女の子なら喜ぶんだろうけど 僕は男だし 女の子のフリをするのは難しい。 僕がモデルをやりだしたのは、 そこにいる司に スカウトされた訳だけど 最初は業界に入るのは 抵抗があり断っていた。 だけど、絶対後悔させないと 司の強い意志に負けたのだ。 で、話が進む内に だったら女性としてやってみない? と司の案から今に至る。 勿論女装に強い抵抗はあったし 不安も沢山あった。 けどね、司が言うんだ、 俺の夢を一緒に叶えて欲しいって。 チラと司を見ると まだスケージュールと 睨めっこしてる。 まあマネージャーは大変。 スケージュールから体調管理、 仕事の管理まで全部1人でやってる。 本当お疲れ様です。 なんて鏡越しに思ってたら、 「暁」 呼ばれたので僕は 振り返り司に視線を送ると 「今日会ったよ例の彼と」 例の彼……。 そう訊いて僕は司に飛びついた。 「本当?どうだった?」 近すぎただろうか 司はビックリした顔してる。 僕は隣に座り直す。 「まあ確かに格好いいな、 身長もあるしお前の目は確かだ」 司に褒められた嬉しい。 優しいけど仕事の事になると 本当厳しいからこの人。 「で、どうだったの?」 司は少し考えて 「かなりビックリしてたし…… まあまだ分からない」 「そう………」 1ヶ月前僕はある人とぶつかった。 本当に少ししか会話してないけど、 顔や特徴は直ぐ 覚えたから司に話したんだ。 何故って……気になったから……。 恋?なのかはまだ不明……。 ただもう一度会いたくて 司に探してもらうように頼んだ。 で、1ヶ月。 「でもAKIにはかなり 興味があるんじゃないか? 雑誌買ってたし」 「会える?」 司は手帖をしまうと 僕の髪を優しく撫で 「少し時間がかかるかもな」 男だと打ち明けていいと 言ったのは僕から。 会うなら嘘つきたくないと 僕の我儘だった。 勿論司は最初駄目だって言ったけど……、 僕が押し通した。 「やっぱり……」 男と名乗ったのは間違いだろうか……。 そう言いかけて止めた。 司は察した様子で 「大丈夫だよ多分」 頭をポンボンされ僕は少し顔を赤らめた。 やっぱり恋なのかな……。 「とにかくもう少し待て」 「……うん」 名乗ったのは会いたいから。 いくら格好が女でも 声を出せばバレてしまう。 そんな低い声じゃないけど 女性の声色とは違う。 「帰るぞ早く着替えてこい」 「はーい」 今考えても仕方ないけど 多分男としては覚えとないと思うから。 頭の中は確かに彼いた……。 会えるかな……もう一度彼に。 僕は司に急かされ急いで着替えて、 その日はスタジオを後にした。

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