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つづき

 飯塚が一緒に住もうと言ってくれた日から、俺はコツコツ持ち物の選別をしていた。カラーボックスに突っ込まれている雑誌は思い切って捨てた。いつか読み返すかもしれない、そんな気持ちでとっておいたけれど、一度も読み返していないのが現実。巡回している廃品回収に引き取ってもらった。  あとは服。本当に気に入っているネクタイを5本、飯塚にもらったシャツとスーツ3着だけを残す。ネクタイは石川達におさがりにした。  ダンボール2箱分のTシャツやシーツなどの綿物も捨てた。これは父親が古くなった衣類を小さく切って店の掃除に使っていたからだ。なんとなく武本家は古くなった衣類はしまっておいて雑巾にする。だから一人暮らしをはじめてもそれが抜けきらず仕舞ってあったが、これを送料かけて送るのか?と考えたら馬鹿らしくなった。今はよし兄の店から劣化したタオル類が供給されているだろうから俺のお古など必要なし!ということでこれも捨てた。  思うに、考えひとつで残してあるものはゴミでしかないってことだ。不必要な物品にスペースを譲って暮らしているのは、変な話だと思う。引っ越しはいい切っ掛けだ。思っていた以上の不用品から解放されて、スッキリ、スッキリ。  あとは猛烈に掃除&さらなる選別&梱包にとりかかる。予定通り水回りからはじめて、最終的に玄関にたどりついたあたりで昼になった。  いったん家をでてレンタカーでハイエースを借りて、移動させる荷物をかたっぱしから積み込んだ。ベッドもバラせば何の問題もなく積み込めたし、ゴミも引き取ってくれるらしいから全部処分してもらおう。  やる気になればこんなもんさ!と妙にすがすがしい気分になり、最後に掃除機をかけてクイックルワイパーでさっと床拭きをして終了。  ガランとしたフローリングに立っていると不思議な気分になる。飯塚と一緒に住むんだなと実感(ピンクな気分を体感。色ボケオーラに男女の差はなし!)  あとは事務手続きをサクサクする。不動産に退室することを告げ半月分を日割りにしてもらう交渉をした。半月退室扱いでOKとなり、清掃や諸経費、敷金返金の口座手続き書類などモロモロ済ませる。  あとは銀行だな。カード会社はネットで住変。あと郵便局にも住変と転送手続きがいる。おっと忘れていた、スカパーも。飯塚と視聴料折半になるのかな。なんだか照れる。ネットは解約した、ポートは送り返すだけだから楽ちんだ。  いちいち住変の度に飯塚の住所を連呼している自分が恥ずかしい。  なんだか、そのね……恥ずかしいんだよ!

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