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第6話
――嘘のような怒涛の一夜が明けた。
誰かの体温に包まれて目が覚めるくすぐったさを感じながら、服部は目を開ける。
隣で眠る鶴巻はまだ寝ているらしく、ふと横にある目覚ましへと視線を向けると、一時を過ぎたところで止まっていて、サッと血の気が引いて飛び起きる。
「お、おいっ! 鶴巻起きろっ! 時計が止まってる!」
のん気に寝ている鶴巻の身体を揺さぶると、思い切り寝ぼけた顔で起き上がった。
「あー……昨日電池変えたばっかなのに、寿命かも」
「のんきなこと言ってる場合か! 遅刻してるかもしれないんだぞ!? 携帯はどこだ?」
慌ててベッドから降りようとする服部を、鶴巻がストップをかける。
「服部さーん……今日、休みです……もうちょい、寝ましょ……」
眠たそうにそう言いながら服部の腕を引っ張り、共にそのままベッドへと再び沈んでしまった。安らかな寝顔を見て、鶴巻が当分起きないと確信し、服部は小さく息を吐く。
(起きたら、一緒に新しい時計でも買いに行くか……)
今の感じだと、鶴巻は朝が苦手なようだ。
こんな関係にならなければ絶対に知りえなかったことを知れて、頬が緩む。
どんな目覚まし時計がいいかとあれこれ想像しながら、服部は幸せを噛みしめた。
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