6 / 6

第6話

――嘘のような怒涛の一夜が明けた。  誰かの体温に包まれて目が覚めるくすぐったさを感じながら、服部は目を開ける。  隣で眠る鶴巻はまだ寝ているらしく、ふと横にある目覚ましへと視線を向けると、一時を過ぎたところで止まっていて、サッと血の気が引いて飛び起きる。 「お、おいっ! 鶴巻起きろっ! 時計が止まってる!」  のん気に寝ている鶴巻の身体を揺さぶると、思い切り寝ぼけた顔で起き上がった。 「あー……昨日電池変えたばっかなのに、寿命かも」 「のんきなこと言ってる場合か! 遅刻してるかもしれないんだぞ!? 携帯はどこだ?」  慌ててベッドから降りようとする服部を、鶴巻がストップをかける。 「服部さーん……今日、休みです……もうちょい、寝ましょ……」  眠たそうにそう言いながら服部の腕を引っ張り、共にそのままベッドへと再び沈んでしまった。安らかな寝顔を見て、鶴巻が当分起きないと確信し、服部は小さく息を吐く。 (起きたら、一緒に新しい時計でも買いに行くか……)  今の感じだと、鶴巻は朝が苦手なようだ。  こんな関係にならなければ絶対に知りえなかったことを知れて、頬が緩む。  どんな目覚まし時計がいいかとあれこれ想像しながら、服部は幸せを噛みしめた。

ともだちにシェアしよう!