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第117話
なんとなくトイレ行く気にもなれなくて、空き教室に入る。
雨具掛けの一角に座り、膝を抱え込む。
鈴華『…。』
春臣って一体何なんだろう。
そんな事を考えていると、電話が来て。
鈴華「はい。」
相手を見ずに出てしまった。
「問題なくやってるの?」
電話の向こうから聞こえてくるのは久しぶりに聞いた忌々しい声。
鈴華「大丈夫です。」
「そう、今年お父さんが1度帰国するらしいわ。
その時は仕方ないけど貴方も来なさい。」
そして直ぐに通話を切られた。
仕方ないから来いって…。
それよりお父さん帰ってくる…嬉しい。
俺の家は父親が海外で仕事をしていて、母はどこかに居る。
中学の頃までは母と住んでいたが、高校になってから母は出ていった。
母は俺の事がすごく大嫌いで物心ある時から良い扱いをされなくて。
父のことも金ズルとしか思っていないだろう。
でも父はそんなこと知らずに家族全員仲がいいと思っている。
何せ母は父が居る時は演技でまるきり性格が違うのだ。
俺の扱いも。
…父さんには会いたいけど、あの人には会いたくない。
俺は小さい頃に少しでも母さんに褒めて欲しくて、98点のテストを見せた。
すると、頬を打たれテストをビリビリに破かれ頭からかけられたのだ。
『私の血を引いているのだから、その性格と頭の出来を何とかしなさい!!!本当に出来損ないのクズなんだから!!』
その時に俺は初めからこの人に愛されようとしていたのは無駄だったのだとわかった。
久々に昔のことを思い出して目から涙が溢れた。
そのままスマホを見ると慎から、何処にいると連絡が来ていたので空き教室と送った。
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