68 / 222

第63話

「ごめんなさい。連れがいるので」 先生がやんわり断るが、お姉さんたちはグイグイ行く。 一歩も引き下がる気もないな。 そりゃあ、こんなイケメンいたらナンパしたくなるよね、わかるわかる。 心の中でウンウン、と頷いくていると 「茜くん!」 先生に名前を呼ばれた。 うわっ! お姉さんたちが一斉に俺の方を向いた。 どんな奴か品定めされているみたいでなんか怖かった。 しかし、1人の女性が「可愛い~!」と言うと、みんな一斉に「可愛い~!」と声を上げる。 怖い怖い……! 俺の周りにワラワラと群がって、頭を撫でたり、頬っぺたをツンツンしたり、好き勝手される。 「え、……え、あの……」 「やだー!すごい肌スベっスベ!」 「顔ちっちゃ!」 「髪サラサラいいなー!」 俺ではどうにも出来なくて、先生に目で「助けて」と訴えかけるがニコニコして見ているだけだった。 しかし目が笑っていない。 やばいぞ。

ともだちにシェアしよう!