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1:不思議の国のアリス(R18)

アリス、アリス僕らのアリス。 アリスよ早く目を覚まして? アリスが居れば誰も困らない。 アリス、アリス僕らのアリス。 アリスが来たならば、沢山愛してあげよう。 -------------------- 「…ッ…リス…。」 ねえ、どうして?どうして僕なんかを呼ぶの? 汚い汚い穢れた僕を何で呼ぶの? 「アリス!!寝てないで起きてよ!!」 「んっ……。」 ゆっくり目を開けると、目の前には真っ白で長い耳をピクピク動かし、真っ赤でクリクリした瞳でじっと僕を見ている不思議な男の子が居た。 「君は…うさぎさん?」 何故か今まで見たことのない不思議な相手の姿にまじまじと見つめ返してしまった。 「アリス、おはよう。やっと会えたね。」 うっとりとした蕩けた表情を浮かべ、ぎゅっと僕を抱き締めた。 「僕…の名前?」 「君の名前はアリス。僕らが待ち侘びた大切な人だよ?やっと会えたね。大好きだよ、アリス。」 あれ?…僕はどうして…汚いの? アリスって僕の名前なの? 「ねえ、僕…どうして寝てたの?ここは?」 何でか分からないけれどとても悲しくて泣きたいよ。不安で堪らずじっとうさぎさんを見つめた。 「嗚呼…可哀想なアリス。僕らの事を忘れちゃったんだね。…ごめんね、もう時間なんだ。」 残念そうに耳を垂らしては僕から離れて大きい懐中時計を見ては、そっと僕の額に口づけを落とした。 「またね、アリス。僕に一番最初に会ってくれてありがとう。また会おうね。」 「待って!!置いていかないで!!」 離れていくうさぎさんに追いつこうと縺れながら立ち上がり、ふらふらと歩き始めた。

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