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6月-2
彰太と毎日うざったいくらいに過ごしてきて、分かったことがある。
彰太は意外に話しやすいっていうか、人懐っこいところがあってクールな感じでは無いこと。
俺とゲームの好みが合って、ホラーゲームが好きなこと。あと肉も好き。
そしてオナニーばっかりする。
生憎俺の道具はオナニー用だと即行でバレ、それをいいことにどんどん借りたがる。
盛りすぎ、迷惑。
少なくともなぜかそのせいで俺は彰太を「いいやつ」とは思えなかった。
【麻生】
「男遊びやめたせいで俺に構う頻度多くないか?」
【彰太】
「そっか?ていうか俺たち友達だろ?」
【麻生】
(あちゃー……そこからかー……)
後バカだ。天然。
だけど俺の勉強に付き合ってくれる限り、彰太は思ってるより優しい人間なのかもしれない。
【彰太】
「神経の主なやつ言ってみて?」
【麻生】
「視神経、嗅神経、動眼神経……」
【彰太】
「ん、合ってる。
解剖はいいけど計算間違ってる」
【彰太】
「え、まじか」
元々テスト勉強にのめり込めないということもあり、彰太は結構、貴重だったりする。
そして過ごしてきて距離が縮んできたやつといえばもう一人、……遥斗。
【遥斗】
『あそっちゃん良かったら明日通話しようよ!
話してみたい( ´∀`)』
【麻生】
『おー!俺もしたい!
夜の9時とかでも大丈夫系?』
【遥斗】
『大丈夫大丈夫!
じゃあそれくらいになったらL○NEするね!』
明日はついに、彼と通話をする。
それだけで心が跳ねて、時間を気にしてしまって、楽しみだった。
【麻生】
「明日、勉強9時までで大丈夫」
【彰太】
「なんかあんのか?」
【麻生】
「ネッ友と通話」
【彰太】
「そっか。じゃあ俺シコっとくからなんか道具貸して」
はは……読者の皆さま、分かるだろうか?
この男子高校生のようなノリがほぼ毎日続くこの地獄を……。
というか貸してもちゃんと消毒してくれるのはいいんだけど、次の俺が使いづらいんだよほんと。
だってもし仮にローターが先っちょに当てるように使われてたら本当に困る。
……穴に入れたら彰太に挿れられるような感じがしてやだ。
いつまでこれが続くんだろ……。
俺がこの家出るまで?……えぇ、それはちょっと。
【彩】
『いや普通に笑うわwwwwwww
今まで興味すら無かった人が実はゲイでオナニーの道具貸す仲になるとかwwww』
【麻生】
『彩さん……助けて/(^o^)\』
【彩】
『オワタくっそwwwwww
でも麻生くんバイセクシャルだからワンチャン……ね?』
【麻生】
『何言ってるんですかww
さすがにシコりまくりな人好きになりませんよwwww』
その夜、彩さんと相談という名のチャットを交わし眠りにつくと、夢を見た。
夢には珍しく彰太が出てきて、一緒に踊るといういかにも変な夢だった。
夢に出てくんなよ……ほんと。
多分彰太と恋人だったら幸せな夢でも見たんだろうに。
起きて学校に行って、終わってアルバイトをして、夕飯を食べて、彰太と勉強する。
そんな他愛の無い毎日の筈なのに、ちょっと変に感じる。
それはきっと彰太と一緒だからなのかな。
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