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第21話 早めのクリスマス

シャワーを浴びて2人で夜景を見ていた時に約束の30分が経ち部屋の電話が鳴った。 少し苛立ち気味で電話の応対をする心翔。 「咲夜がムカつく」 そう言うと僕の手に指を絡め握りしめて唇に軽くキスをした。 僕の顔を見て苛立ちを抑えている様に見える。 心翔が怒っている訳は分かっている。 電話でのやり取りが少し聞こえて媚薬の事で怒っているんだと思う。 心翔は僕の心配をしているんだ。 確かに平気になったかもしれないけど・・・まだ平気じゃない。 今だって思い出したくない記憶。 媚薬なんて使われたら嫌でも鮮明に蘇って怖くなり身体が強張る。 「さて、お姫様下に降りますか?」 「僕はお姫様じゃないからね」 「今は俺だけのお姫様だよ」 「女の子じゃないから僕は喜ばないよ」 「分かってるよ。俺の自己満足」 心翔は僕の頬に触れてニッコリと笑う。 怖いけど側には心翔が居てくれるんだ。 こうして心翔の温もりも感じれるから僕は強くなれる。 「心翔、大好き」 僕は心翔の腕を引っ張り頬にキスをすると不意打ちに弱い心翔の顔が赤くなった。 いつもはカッコイイ心翔。 僕にだけしか見せない顔があるんだ。 僕だけの心翔。

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