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サトルとミコト

「じゃんけんほいっ!!あいこでしょっ!!」 手に汗握る攻防戦。 悟(サトル)と尊(ミコト)は必死の形相であいこを繰り返していた。 じゃんけんで勝った方が今日のポジションを決める……二人にとっては必死にならざるを得ない死活問題だった。 「おっまっ!いい加減負けぇなっ!」 「お前こそ負けろっ!俺、グー出すからチョキ出せよ!」 「言われて誰がそんなんしたるかいなっ……って、あっ」 何度かのあいこの応酬を繰り返しているうちに悟の手は固く閉じられグー、尊の手は二本の指を突き出したチョキの形を取られていた。 「あっ……」 「えっ!?えっ!?みこっちゃん、わざと負けてくれたん?」 「アホかっ!んなわけないやろ!偶然や、偶然のタイミングで出ただけやっ!」 「偶然でも負けは負け。覚悟決めろよ。俺がどっちがいいかわかってるよな?」 「う……好きにせぇや」 言葉に詰まる尊に悟は満面の笑みで微笑みかけた。 「んんっ……はぁっ……」 真っ白なシーツの上で絡み合う二対の腕、くちゅくちゅと糸引き絡まる二本の舌。 悟はよく日焼けした褐色の腕で華奢な尊を抱きしめながら額、瞼、頬と至る所にキスの雨を降らせた。 「しつこい……そんなちゅっちゅすんなや」 「あー、俺にそんな口訊いていいわけ?今日は俺のターンだぜ?じゃ、お望み通りちゅっちゅ以外の事してやんよ」 悟がにやりと口角を上げ尊の肩をトンっと押すと、しなやかな裸体がベッドに倒れこむ。 尊の下唇を甘噛みし唇を徐々に下へと滑らせ鎖骨に歯を立てた。 「あっ……ナニしとんねん」 「んっ……俺お前の鎖骨好き。くっきり浮いててエロいんだもん」 「……だもんとか言うてんな。きしょいわ……んんっ」 鎖骨を這う舌の感触に肢体を震わせながら尊は悪態をつく。 そんな尊を焦らすかのように悟は右手を滑らせ、下腹部に垂れ下がる双球をやわやわと揉みしだいた。 「やっ……なんで、ソコや……ねん」 「ん?ドコ触って欲しいの?」 「そんなん聞くなや……アホぅ……」 「言わないと……触ってあげないよ?」 双球を揉む指を休めず、伸ばした小指で内腿をくすぐると、尊の肢体がビクンと弾け未だ触れて貰えない中心が硬さを帯びる。 鎖骨から滑り落ちた唇が胸の飾りに舌を這わせると、尊の唇から艶めいた甘い吐息が零れ落ちた。 「あっ、ん……もう、焦らすなや……」 「ダーメ。尊がして欲しい事いうまでシてやんない。ここじゃ嫌なんだ?ドコをどうして欲しい?」 「……っは、んっ」 「……触っ、て」 「んっ?きこえなーい。もっと大きな声……で、ぐえっ!」 側面から強烈な膝蹴りが飛び、脇腹をしたたかに蹴り上げ、悟は身体をくの字に曲げる。 「てめっ……調子に乗ってんじゃねぇよ。はよ触って、そんでしゃぶれ……」 「は……はひっ」 悟は痛む脇腹を押さえながら尊の下腹部へと頭を沈めた。 「んんっ……あっ、ふっ」 「ココ……キモチイ?」 「んっ、んんっ……」 ビクビクといきり勃つモノの先端に尖らせた舌をあて、先端の穴からプクリと滲み出す玉の雫を舐めると口内に広がる蜜の味。 止め処なく溢れるその液体を悟はさも美味そうに舐めとり味わった。 「こっからヤらしい汁、いっぱい出てくる」 「せやからっ…そういう言い方すなっ!へんた…いっ!」 後孔をズブズブ犯す指の感覚に尊はビクンと身体をしならせる。 「あっ…はっ!」 「誰が変態だって?俺に指入れられてかき混ぜられてココ硬くしてる尊は違うの?」 「あ…んっ…んっ」 尊の後孔を弄る指を二本に増すと、ぐちゅぐちゅと掻き回され淫猥な音を鳴らす。 「んんっ……はっ……ま、え……も」 「ビッチ……まぁ、そんなトコがイイんだけど」 後孔に指を差し入れたまま昂ぶりを扱きあげ棹の部分に舌を這わす。 カリの部分をチロチロと舐めると尊の腿が痙攣し、半開きの唇から透明の雫が伝い落ちた。 「気持ち良さそうな顔して……ホント淫乱」 「うっさい……わ。こんな身体にしたんは……お前や……ない、か」 「そうだった」 尊の昂ぶりを咥内に勢い良く咥え込み頬肉を窄め、擦り上げるとふっくらとした唇から嬌声が零れ落ちた。 上目遣いに見遣ると声を噛み殺そうと自らの指を咥えた尊の姿が見える。 尊は綺麗だった。 関西弁で口は悪いが色素の薄い柔らかな茶色の毛髪を持ち、肌は雪のように白い。 白い肌を朱色に染めて痴態を見せる尊に悟は背筋にゾクゾクと走るモノを感じた。 悟が今にも吐精をしそうな程昂ぶった尊の中心から唇を離すと、尊は絶頂に達しようとしていた射精感を阻まれ声を漏らす。 「あっ……なんや、ね……ん」 悟は薄っすらと噛み跡が残る尊の指をグイと掴み耳元で囁いた。 「お前エロすぎ……俺のでイク声……聴かせろよ」 そのまま尊の身体を反転させると、悟は素早くゴムを装着した己の昂ぶりを尊の後孔へとあてがう。 充分に解れた尊の後孔は、悟をズブズブと呑み込み咥え込んだ。 「うぁ……ふっ……」 「はぁっ……尊のナカ、キモチイ……」 肉と肉が激しくぶつかり合い、雄の香りを放つ。 お互いが快楽を求め、尻を揺らし腰を動かした。 愛撫でイカせて貰えなかった半勃ちのまま揺れる尊の半身を、キュッと握り悟が擦り上げると尊の膝がガクガクと震える。 「さわ……んな。で……る」 「出せば……いいじゃん。俺も……イク……か、ら」 キツく締め付ける尊の後孔を貪るように腰を打ちつけ、背後からキツく抱きしめると、絹のように滑らかな尊の背中が汗で湿る触感が心地よかった。 「はっ……はっ……もう、む……り」 「一緒にイこ……尊」 ガクガクと腰を震わせ二人は共に果てた……。 「なぁ……サ、トル」 「んっ……」 「手……ギュって握り……」 「んあ…?」 寝ぼけ眼のまま言われるがままに、グーを握った悟の手を尊の手のひらが包み込む。 (あーかわいーー。やっぱみこっちゃんかわいいーー) 視点が定まらないまま悟は薄ぼんやりとした視界の中、微笑む恋人に腕を伸ばしぎゅっと抱きしめる。 「俺の勝ちやな」 「んんっ……?」 尊がニヤリと哂う。 夢見心地で状況の飲み込めない悟は自分の後孔をまさぐる指にヒャッと身を竦めた。 「ちょっ……ナニを……」 「第二ラウンドしよか。お前がグー、俺がパー。じゃんけんにも勝ったし次は俺のターンやで」 「えっ……待てって、それ騙し撃ち……」 後ろをまさぐる尊の指から逃れようとするが尊はそれを許さない。 華奢な外見に似合わない力で悟をガッチリと抱きすくめる。 「ズルでも何でも勝てば官軍いうやろ?次は俺が挿れるで」 「みこっちゃん?さっきヤったばっかりでしょ?元気すぎだ……よ?」 「うっさい。お前に挿れたなってん。若モンの性欲なめんな」 「ひどっ!人のコト枯れたおっさんみたいに言うな!一個しか違わな……」 「枯れてへんねんやったら、元気なトコ見せぇや?」 濡れていない後孔に指を挿れられ悟はヒィっと小さな悲鳴を上げる。 「散々俺の事焦らした罰や……同じ事したるさかいな」 尊が悟の耳朶に噛み付き息を吹きかけると、よく鍛えられた褐色の裸体がビクンと跳ねた。 第二ラウンドスタート。

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