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第一話 公衆トイレ
深夜の公園。
冷たい空気に包まれた真っ暗な公園はひと気がない。
しかし、唯一煌々と光っている男女共同の公衆トイレから、何者かの声が響いていた。
「や……です、やめてくださいっ……!」
ニオイも汚れもひどいトイレの中。
その壁際に追い詰められているのは、赤いチェックのスカートを履いた高校生くらいの『女の子』……ではなかった。
華奢で、声も高く、格好は完全に私立高校の制服だが、『彼女』はれっきとした『男』なのだ。しかも高校生ではなく、二十歳を過ぎた大学生だった。
「逃げんなよ、アキ」
体格のいい金髪の男が、アキと呼ばれた女装の青年ににじり寄る。男は壁に両手をついて、アキが逃げられないようにしていた。
追い詰められたアキは、瞳を潤ませて、今にも泣き出しそうだ。
イヤイヤをするように首を横に降ると、栗色のウィッグがゆらゆらと揺れる。その姿は、パッと見ただけでは本物の女の子にしか見えなかった。
「っ……先輩、許してくださいっ……!」
「ああ? 俺のいうことが聞けないのか? なら、お前の秘密をみんなにバラしたっていいんだぜ?」
秘密、と言われてドクンと心臓が跳ねる。
「だ、駄目です……っ! それだけは……!」
「なら、俺の言うこと聞けるよな?」
男はニヤリと笑う。
男の言う通り、アキには誰にも言えない秘密があった。
秘密――その甘い響きによって、アキの脳裏に映像が蘇る。
ベッドの上。裸の自分。顔を隠すためのマスクと、卑猥な玩具。
『い…今から、気持ちいいことするね……みんな、僕の恥ずかしい姿を見ていて……』
熱を帯びた声でそう言うと、カメラに向かって足を開き、淫らなオナニーをネット配信する。それが秘密の正体だった。
誰にもバレないだろうと思っていたアキだったが、どうやって見つけたのか、同じ大学に通う湯神という名の先輩に「お前、オナニー配信してる『AKI』だろ?」と声をかけられた。それが全ての始まりだった。
「命令だ。いつもみたいにしゃがんでスカートを捲れ」
「は……い」
アキはもはや全てを諦めたような表情を浮かべ、言われるままにしゃがんでM字開脚をした。そしてスカートをめくり上げると、ピンクのレースが可愛らしい女物のショーツから、小ぶりなペニスがはみ出しているのが見える。
「おいおい、勃起してんじゃねぇか、変態」
湯神の汚れたスニーカーが、アキのペニスをグリグリと弄った。
敏感な場所を乱暴に虐められ、アキは震え上がる。
「あっ、ぁああ……んうっ……!!」
「どうだ? チンポ踏まれて気持ちいいか? ん?」
「んああっ、気持ち、いいですっ……! もっと、つ、強くしてくださっ……ん、やッ! ああああ――ッ!」
「奴隷が俺に指図すんな! お前は俺の命令にただ従ってりゃいいんだよ」
湯神はまるでサッカーボールで遊ぶかのように、アキの股間を蹴り上げた。
痛みが内臓にまで響く。だが、同時にアキは精液を噴き上げていた。
柔らかな睾丸ごと蹴り上げられ、絶頂してしまったのだ。
そう。アキにとって、痛みは快感と同義だった。
「は、ぅううっ……! きもちいッ…きもちいいです……!」
「ホント、どうしようもないクズだな。おい、靴が汚れちまったじゃねぇか。這いつくばって、舐めて綺麗にしろ」
見れば、アキの精液が湯神のスニーカーを汚していた。アキは小刻みに震えながら、膝をつき、犬がミルクを舐めるような格好で靴についた精液をなめとる。
その姿に劣情を煽られた湯神は、チャックを下げ、いきり勃った長大なペニスを取り出した。
「靴の次はこっちだ。うまくできたらご褒美をやろう」
上を向いたアキの眼前に、雄の匂いがするペニスが突きつけられる。
しゃぶれ、ということだ。
靴の精液を舐めとり綺麗にしたアキは、躊躇することなく、黒光りするペニスを口に含んだ。大きくて、全部は飲み込めない。
しかし、湯神は遠慮なく腰を使ってアキの喉を犯した。
「んくっ……! ん、ううっ、う……!!」
「上手じゃねぇか。もっと奥まで突っ込むぞ、オラァ!」
「ンンッ――!!」
吐きそうだった。
しかし、アキはなんとか吐き気をこらえ、喉奥で湯神を締め付ける。
頭を掴まれ、思う様アキの喉を犯す湯神は、恍惚の表情を浮かべながら「くっ、出すぞっ!」と言い、小さく呻いた。
宣言通り、熱いものが大量にアキの喉を通っていく。
湯神の吐き出した精液が全て注ぎ込まれ、支配されていく――。
怖いけれど、気持ちがいい。嫌だけど、強制されることが最高の快楽へと変わる。
「はぁッ…ゲホッ……けほっ……」
「全部飲んだか……えらいじゃねぇか」
アキはぐしゃぐしゃと雑に頭を撫でられる。湯神は飴と鞭の使い分けが上手い。
ただ陵辱するだけでなく、時に褒めてやることも忘れない。立派なマスターだ。
湯神がマスターだとすれば、アキはスレイブ。奴隷だ。
――ああ、もっと……もっと、酷くされたい――
アキは蕩けきった顔で、はぁはぁと肩で息をしていた。
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