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甘美なる仕置き
両手両足を拘束され、猿轡をかまされたアレクは「一体、これはどういうことだ?」、と不審に思っていた。数ある修羅場をくぐり抜けてきたアレクだが、こんな状況に出会ったことは一度もない。
こんな――淫らな状況には。
「あンッ……! あっ、あぁッ……イヤぁっ!」
眼の前で繰り広げられるのは、恐ろしいほどに生々しい行為。
真っ白な肌の男が、濃い褐色肌の男に抱かれている。褐色の男はアレクのボスで、抱かれているのは、ボスの愛人だ。
愛人の名はルーヴェといった。ボスもルーヴェもいわゆるゲイで、ルーヴェは普段からまるで女のように振舞っている。そんな彼……いや、彼女は、アレクの同僚でもあった。
ルーヴェは金色のショートヘアを振り乱し、何度も首を横に振る。足を抱えられて、結合部がアレクに丸見えになるように股を開かされていた。
金色の繁りがあって当然のその場所は、綺麗に手入れをされていてつるつるだった。それにも驚いたが、乳首と同じ薄ピンク色をしたペニスにも驚かされた。
「だめっ、だめ、許してッ……ああ、ッ、レオヴィル……!」
「ふん、そんな声で私を呼んでも無駄だ。貴様とアレクがデキているのはわかっている」
「ちがッ……ぁう、ぅ、ッ……! 違うのっ、本当にアレクは関係ないわ…!」
「いくら弁解しても許さん! お前が一体誰の所有物か、今一度分からせてやる」
――なるほど、そういうことか。
つまりアレクは、ボスと愛人の痴話喧嘩に巻き込まれたのだ。
ボスのベッドルームに連れてこられ、唐突に男同士のセックスを見せられるという状況に、ようやく合点がいった。これは全て、嫉妬心が人一倍強いボス、レオヴィルの暴走というわけだ。まるで意味のないその行為に、アレクは心底呆れかえった。
ルーヴェは有能で頼りになる仲間だと認識しているが、アレクとは一切関係を持っていない。それに、ルーヴェはしばしば『レオヴィルは傲慢で乱暴だけど、決して仲間を裏切ったりしない。素敵でしょ?』と漏らしていた。そんなルーヴェが、レオヴィルを裏切るはずがない。
「あ、あぅッ……! あッ、あ、いいっ……そこ、気持ちいいッ……」
「アレクにもそうやって悦がったのか? 甘い声で誘惑して、アレクのペニスを咥え込んだんだな!?」
「ひっ…! いやッ、そんなっ…激しくしないでぇっ…!! あ、ああっ、イクっ…イっちゃう…!!」
ズン、と深く貫かれたルーヴェが、激しく太腿を震わせた。大量の白い蜜が、ピンク色のペニスの先端から溢れて止まらない。白蜜はルーヴェの腹を汚し、シーツも濡らす。極まったルーヴェは、涙を流しながら「やめて、もう、やめて」と懇願した。
それでも、レオヴィルはピストンをやめない。
逃げる術のないルーヴェは、されるがままにレオヴィルに抱かれ続けた。奥を抉られ、乳首を摘まみ上げられ、何度も何度も中に出される――。
終わりのない快楽に、ルーヴェはアレクの目の前で乱れ、壊れていく。
飛び散る白濁、上気した頰、乱暴に犯されながらも感じてしまう淫らな身体。
――ああ、なんて美しいんだ。
ルーヴェが絶頂するたび、アレクは湧き上がる劣情を抑えきれなくなっていた。
欲しい。ルーヴェの身体が欲しい。あの身体を抱きしめて、蹂躙してやりたい――そんなアレクの欲望がレオヴィルに伝わったのだろう。彼は勝ち誇ったように笑い、ようやくペニスを抜き取った。
すると、ルーヴェのアナルはヒクつき、口を開けたままだらだらとレオヴィルの子種を漏らす。
「ああっ、見ないで……いやあッ…アレク……!」
絨毯が汚れるのも構わず、レオヴィルはルーヴェを抱きかかえ、その様をアレクに見せつける。
「……これで分かったか? アレク、貴様にルーヴェは渡さん。せいぜい指をくわえて見ているといい」
ルーヴェは気を失ってしまったようで、ぐったりとその身をレオヴィルに預けていた。その細い身体をベッドに投げ捨てられ、「んう……」とくぐもった呻きをあげる。レオヴィルは、高笑いをしながらシャワールームへと消えていった。
声も出せず、身動きも取れないアレクは、ただただベッドの上でうなされているルーヴェを見守ることしかできなかった。
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