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第1話
樹とは小学校からの腐れ縁。
佐藤 香月と斉藤 樹だから出席番号5番と6番。ずっとニコイチ。
名前も似てるからよく言い間違えられるっつぅか、ややこしいから、俺は女みたいな名前が嫌で佐藤って呼ばせてる。
樹は小二で転校してきてからクラスの人気者。明るくって優しくて、頭はまあまあだけど、人望が厚い長身のイケメン。
一週間前も後輩の子に告白されてた。あの子と付き合うのかな?樹バカがつくほどお人好しだし。
来週からのテスト勉強一緒にしようって言ってたな。その時にでも聞いてみよう。
「なぁ、樹。今日寄っていくだろ?」
「え?あぁ……うん」
「何だよ?何かあんのか?……あ!後輩の子と帰んのか……ふぅん」
「ち、ちがっ」
歯切れ悪いっつうの、あの子とやっぱり……
教室に戻ってからも、何かイライラしてた。何でかは分からない。でも胸の……真ん中辺りがチクッとした。
はぁってため息一つ、今日は早く帰るかって靴箱開けると、手紙が入ってた。
「好きです」の一言。差出人の名前はないけれど、こんな癖のある字、間違えるはずない。何かくすぐったくて、胸が熱くなるのを感じた。
「よぉ!」って声かけてきたアイツの耳は真っ赤だった。
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