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第51話 寝坊しました
「おい」
「うわっ?!」
HR終了後。
ぬっと現れた影と声に、俺は心底驚いて仰け反った。
その美形オーラ全開で耳に悪い無駄な美声で、気を抜いたところへ突然声かけられれば、俺じゃなくても心臓を一瞬止めてしまうだろう。
そういえば、そうだった。
すっかり頭から抜けていたけど、朝一番に神から声を掛けられていた。
俺の所へ来ようとしていた健太も、神に声を掛けようとしていたクラスの連中も今の物珍しい様子に、戸惑ってこちらを見ていた。
「今朝、なんで散歩に来なかった」
「え、や、その…」
なんで散歩に行ってないのを知ってるのかという疑問と、神に何の関係があるのかという疑問が二つ沸き起こる。
「はっきりしろ」
有無を言わさぬ口調で見下ろされれば、その美形故の迫力にアッサリ押されてしまった。
「…あ、寝坊して…」
「は?寝坊?」
神が呆れたように、いや実際呆れた顔で俺を見下ろした。
バカじゃねぇの?信じられねぇ、みたいな表情で俺を責めてくる。
お願い、その目やめて。
ほんとに何度向けられても慣れないから。
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