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第53話 なでなで
顔近すぎない?
イケメンの顔がアップ過ぎて、ヒート起こしそう。
少し顔が離れるが、手は頭の上に置かれたまま。
えーっと、何だっけ?飼い主?
なでなでと、頭を撫でられる。
言われた意味が分からなくて、ポカーンとしている俺を何処か満足そうに見下ろす神。
いや、あのですね。
誰が誰の飼い主?
心の声が出ていたのか、表情を読まれていたのか。
「バカなワンコは、もう忘れたのか?」
「…えーっと…」
「おまえのご主人様は、俺だろ?」
俺の頭から手を下ろした神が、俺の眼前に手の平を見せてきた。
「もえ。お手」
神は王子様スマイルを浮かべた。
それはそれは、楽しそうな顔で。
「…わん」
俺は口の端をヒクヒクさせながら、出された手に自分の手を乗せた。
そうだった。
思い出した…。
俺はコイツの下僕という名のパシリだった。
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