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15 〜 シップハー 〜 ちょい※

「きれい…」 「気持ち良くなるともっと鮮やかに染まるみたいよ?」 「そうなの?」 「興味ない。」 ジェミルに聞いてみたけど本気で興味なさそう、と言うか忌々しそうに言った。 「触っても良い?」 「えぇ、どうぞ。」 許可をもらって恐る恐る撫でてみるとぴくっと小さく反応した。良いのか擽ったいのかわからない。嫌がられなければ良いかとぺたりと手のひら全体を押し当ててゆっくりと撫でると薄くなり始めていた花が再び鮮やかさを増した。 「ミチルの手、気持良い…もっと撫でて…」 「えっと…こう?」 花のどの部分が良いのか分からないから全体を撫で回した。少し体温が上がった?不思議な温かさに誘われるようにちゅっと軽く吸い付けば甘やかな嬌声が溢れた。 「んちゅ…エルヴァン、気持良いの?」 吸い付くと身を震わせるエルヴァンに聞いてみるとこくこくと頷く。…楽しくなって来た。 調子に乗って背の花を舐めながら前に回した手で唇をなぞったり耳をくすぐったり鎖骨を撫でたりしているうちに固く立ち上がった胸の飾りに指先が触れた。 「はぁんっ…そこ…もっと弄ってぇ…っ!!」 この触り方で良いのかな? 親指と中指できゅっと胸をつまんで固定して、人差し指で先端を撫で擦った。 「あぁぁ…ふぁ…はふっ…んんんっ…!!!」 胸を突き出すように仰け反って震えると、背の花は一際鮮やかに色づいた。 「はぁ…はぁ…ミチル、お願い!結婚して!!」 「なんで!?」 「ミチルの手、気持良すぎるんだもの!それにあなたに似た子供が産まれれば王妃にだってなれるかも知れない!そうしたら私、王族よ!!」 夢は大きく持ちましょう、じゃない!! 「ごめん、感じてくれるのが楽しくて触ったけど、結婚はちょっと…。」 「抱いてくれるだけでも良いから!!」 「それもムリ!ごめん、もう触らないから…」 「それもいや!乳首でイきたくなった時だけでもお願いぃ!!」 「いい加減にしろ!嫌がってるだろう。」 そんなピンポイントな欲求が!? 驚いているおれをジェミルが庇ってくれた…たぶん。 「諦めないから!!」 そう言ってエルヴァンは出て行ってしまった。 「…ジェミルがここを出る事、言い忘れたね。」 「…そうだな。」 とりあえず夕飯を食べに外に出た。 あれ?ギュルセルさんの食堂が閉まってる? 「どうしたんだ?」 「あぁ、いや…凄い勢いでエルヴァンが来て、ドタバタしたと思ったら今日は休みだ!ってギュルセルが…」 ジェミルと顔を見合わせる。 これはきっとおれのせいだよね…。仕方ないので他の店へ行く事にしたけど、他の美味しい店は席が外にあるのが多くてベールが外し辛い… テイクアウトにして家で食べよう。 「なんだか悪い事しちゃったね。」 「ミチルは悪くない。…むしろ喜んでただろう?ギュルセルだってきっとミチルに感謝するはずだ。」 そうかなぁ? お店休ませちゃったよ? 「男なら激しく求められたいものだろう?」 「あ、やっぱりそう言う…」 もぐもぐ。 鳥肉のステーキとスープとパンとサラダ。 美味しかった! …サラダに香りの強いハーブが入ってるのが少しキツイけど、虫除けになるからだって。日本でも飲む虫除けとかあったら良かったのにな。 …もう関係ないか。 「ミチル、勝手に離れてごめん。」 「え?あ、いや…大丈夫だよ。この町の人、みんな優しいし、遠くへ行く訳じゃないし。…少し寂しいけど。」 「…勝手だけど、寂しいって言ってもらえると嬉しいな。」 ぐはっ!久々の破壊力!! イケメンはにかみ笑いヤバい!! 「ジェミルやめてー!おれの感覚ではジェミルは超絶美形なんだから!はにかみ笑顔なんてされたら(ほだ)される!流される!」 知恵熱が出そうな程頭に血が上ってます。 「…絆されて流されてくれるなら大歓迎だが?」 「でもちゃんとはっきり好きって思ってからの方が…良くない?」 「俺はミチル以外なんて考えられないから、いつでも良い。たとえひとときの夢でだって…」 いつのまにか隣に来ていて抱き込まれた。程よい胸筋がもっちりして…ほわぁ… 「さっきの…エルが羨ましかった。」 「ジェミルも胸、触ってほしいの?」 「じゃなくてっ!!…抱きしめられたりキスされたりしてて…」 キス?したっけ??? …………背中か。 「ジェミ…」 「見ないでくれ!」 上を向こうとしたけど、抱きしめたまま離してくれないので顔が見えない。 「情けない顔してるから…見ないでくれ。」 元気のない声でそんな事言うなぁ! このヘタレわんこが!絆されるって言ってるだろう!? いや、計算か? 策略なのか!? くそぅ!もう、良いよ! 倫理観とか道徳とか理性とか!心の押入れに放り込んで気持ちに素直になってやる! 「ジェミル…顔も見ないし、キスもしてあげる…あ、見ないとキスできないか…どうし…ぅわっ!」 突然の浮遊感に驚いて目を開けると、お姫様抱っこでジェミルのベッドに運ばれる途中だった。 あ、顔見ちゃった。 慌てて目を閉じたけど、一瞬見た顔は切羽詰まってるけど情けなくはなかった。イケメンずるい。 ベッドに下され、頬を撫でられ、唇を撫でられた。この状態でジェミルの背中にキスするの?とか考えていたら唇に柔らかいものが触れた。 角度を変えて啄むようなキスをされて。 チロチロとイタズラする舌に誘われるように口を開けば肉厚な舌が口内を探り始めた。 口の中…やっぱり…気持ちいい… うっとりと快楽を受け取りながら舌を伸ばして続きを強請る。擦れ合う粘膜と混ざり合う唾液。途切れ途切れに漏れる喘ぎ声。 「はっ…ミ…チル…」 「ジェミルぅ…キス…もっとぉ…」 「!!」 「ふぅぅっ…はぁ…んんっ…」 くちゅくちゅと卑猥な水音を響かせて感じる所を暴いていく熱い舌を逃がすまいと強く吸うと、ジェミルがぎゅうと抱きついて来た。嬉しくて同じように抱き返すとなぜかジェミルが固まった。 「ジェミル?」 「…すまない!俺を…俺を嫌いにならないでくれ!!」 そう叫んで家から出て行ってしまった。 取り残された俺は持て余す熱にべそをかきながら1人で風呂の準備をして、ジェミルのキスを思い出しながら自分を慰めた。何がいけなかったのか。ジェミルはなぜ嫌われると思ったのか。 たまらなく不安で悲しくて、なかなか寝付く事が出来なかった。 そしてジェミルが帰って来たのは真夜中を過ぎた頃だった。

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