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続・かなてぃの恋⑯
俺ら3人は、テーブルに座り、ピザを囲った。
俺はコーラ、結城はオレンジジュース、ひよし先生はビールを飲んだ。
「なんか不思議な感じっすね。2人が一緒に暮らしてるっていうのがそもそも驚きですけど、3人でピザ食ってるこの状況がめっちゃ不思議な感じします」
「確かにな。俺らも誰かを招いて食事することなんて今までなかったからな」
"俺ら"というのは、当然、結城とひよし先生の事だ。
こうやって、2人が並んで話をしているのを見ると、やっぱ付き合ってるんだな、と思わざるを得なかった。
そのくらい2人は自然体だったし、悔しいけど、正直お似合いだとも思った。
あーやばい、またうなだれそう。
「空、そっちのピザ取ってくれ」
「あ、うん」
ひよし先生に言われた結城が、ピザを一切れ取った。
皿に置くのかと思いきや、ひよし先生が、なんと結城の手を掴んでそのままそのピザを口に入れさせた。
「ち、ちょっと、ひよしさん…!」
結城は、俺の方をチラッ見ひつつ、ひよし先生を注意する。
「うめぇな」
とひよし先生は何食わぬ顔で言う。
くそ、イチャつきやがって。
心の内の炎がメラメラと燃え上がっている気がする。
「あれ、空。口にソースついてるぞ」
「え、どこ?」
ソースを手で拭おうとするのを抑え、ひよし先生は結城に顔を近づける。
そして、あろうことか、結城の口元のソースをペロッと舐めとったのだ。
「ちょっ、ひよしさん!やめてよ、かなてぃもいるのに…!」
結城が恥ずかしさに顔を赤くして、抗議の声を上げる。
俺は怒りで顔を赤くしている。
「ぼ、僕、トイレいってくる」
俺が見ている前でそんなことをされ、恥ずかしさに居た堪れなくなったのか、結城はそそくさとトイレに逃げ込んだ。
残された俺とひよし先生は互いに睨み合う格好となった。
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