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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 4-10

 そこまで気にする必要もないだろうに、本当に人がいいとしか思えない。成瀬にしろ、本質的な部分を変える気がないのだから、気に留めなければいいのに、こうして中途半端に気に留めることがある。  自分より篠原のほうがまともだと思っているからだ。それは、まぁ、そうではあるだろうが。 「そういえば」  なんでもない調子で話しかけられて、軽く視線を向ける。 「このあいだ、うちの一年助けてあげたんだって? 茅野が言ってた。珍しいこともあるもんだな、とも言ってたけど」 「目の前で馬鹿が馬鹿やってたからな」 「また、そういう言い方する」  手元に視線を落としたまま、こちらを見ようともしていなかったが、それでも、普通に返事があったことに、ほっとしていることはわかった。  そういうところが、本当に中途半端だ。  だから、苛立ちばかりが増える一方なのだろうか。 「まぁ、でも、よかった」 「よかった?」 「その子にとってもよかったなって思うし、……これは個人的にだけど、行人が仲良くしてる子だから、よかったなと思うよ」  気にするだろうから、と続いた台詞は、どこか他人ごとのようでもあった。 「生徒会の人間としてだと、昼間に普通に歩いてただけで上級生に絡まれるような状況は正すべきだ、になるんだろうけど」

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