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藤京介の日常
いつもと同じ朝だった。
7時に鳴り響くのはスマートフォンの目覚ましアラーム。
まだ眠くて閉じかける瞼を押し開けて、最初に見える景色は、ハルのおでこ。
身動きが取れなくて、視線をしたに向けると見える腰に巻き付くハルの腕。
胸元に感じる規則正しく繰り返されるハルの呼吸。
「おはよう」と言えば、もにゃもにゃと返される「…………はよぅ…………」の声。
「起きるぞ」と言えば、「まだ起きたくない眠い」と駄々をこねられ、寝起きの悪いハルの頭を軽く叩く。
寝癖のついたふわふわの茶色い髪の毛を触りながら、少しずつハルの意識を覚醒させていく。
少し目が覚めてくれば、にっこりわらってもう1度「おはよう」と呟くハル。
もう何度同じ流れを見てきたのか分からなくなるほど、これは日常だった。
紛れもない、俺の当たり前だった。
だから明日もこの当たり前を繰り返せると、心のどこかで思っていた。
俺────藤京介と付き合って2年。同棲して1年の恋人であるハル────相馬滋春が、事故に遭うまでは。
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