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第199話

先ほどの荒々しいキスで濡れた唇は、立花さんの乾いた唇に吸い寄せられて絡みつく。 「本音を言わないこの唇は、何のためにあるのか」 「ふぁっ」 ぐっと指が奥に入って喉が苦しくなる。 両手でソファにしがみ付きながら、頭を振る。 「何を隠している?」 隠してなんかいない。 本当にこれは俺が自分で立ち向かわなければいけない問題だから。 「俺に頼れ、榛葉」 頼れ、本音を言え、隠し事をするな。 そう言いながら、貴方は俺を押し倒し自由を奪い、声を発することを妨げている。 矛盾している自分の行動には何も疑問を持たないの? 指が苦しくて涙が滲むと、口の中から指は引きぬかれた。 「……」 少しは優しくなったし、俺の気持ちを汲み取ろうとしてくれているし、行動は乱暴だけれど、きっと心配してくれているんだと思う。 「これ以上、どう守ってやればお前は満足なんだ」

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