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第113話 コイゴコロ 4-2

 身体をまさぐるように触れてくる両手に、じりじりと焦げている熱情を煽られた。興奮したような荒い息づかいが耳にはっきりと聞こえ、こらえるように身を縮ませる俺などお構いなしに追い詰めようとしてくる。  下からはぐちゅぐちゅと湿った音が響き、犯すように舐められた耳からも滴るような水音が聞こえた。下半身は力が抜けそうなくらい気持ちがいい。胸の尖りはきつくつままれるほどに身体をビクビクとさせてしまう。  いつも以上に感じる快楽に扉に両手を突いてもたれかかる。すると切っ先が扉にこすれてしまい思わずそこに熱を吐き出してしまった。 「駄目だよ、先輩。こんなとこ汚しちゃ」 「うるさ、い」 「ベッドでたっぷりしてあげるから、行こ?」 「あっ、離せ」  後ろから抱き上げられて、つま先が宙に浮く。ジタバタともがくけれど腕は弱まるどころか強くなり、後ろから首筋に顔を埋められて肌のざわめきと共に肩が震える。さらにきつく吸い付かれると、それだけでたまらない気持ちになってしまう。熱は高まるし、身体は疼くし、期待する後ろは浅ましいくらいひくつく。  ベッドの上に少し乱雑に投げ出されて、それを追うように乗り上げてきた瑛冶に胸の高まりが止まなくなる。それを知られたくなくて逃げ出すみたいにシーツの上を這えば、後ろから腰を鷲掴みにされて引き寄せられた。そしてぬめる舌で孔をたっぷりと舐められて、上擦った声を上げてしまう。 「ぁあっ、ぁっ、んっ……やめ、ろ」 「嫌じゃないくせに。腰が揺れてるよ。ねぇ、先輩。これ試してみる?」 「え? なに?」  後ろを振り向くと、口の端を上げて笑う瑛冶が見慣れないものをちらつかせてくる。それは玉が連なった細長いものと、いかにもな形をかたどったおそらくバイブ。それを目に留めた瞬間、カッと頭に血が上る感じがして掴んだ枕を思いきり顔に投げつけた。 「死ね! なんでそんなもん持ってんだよクソが!」 「夜のお楽しみにどうぞって」  小さく首を傾げて笑ったその顔に、ますます腹が立って足を振り上げる。しかし力の入らないいまの俺に蹴飛ばされた程度では、身体の大きい瑛冶はびくともしない。

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