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②
ひっく、ひっく、といつかの夕方、学校の帰り道と同じようなしゃっくりが出ている。
そのしゃっくりは俺の後ろからじゃなく隣から。
俺は隣を歩く燐を見て、口元を緩めその耳元に口を寄せた。
「燐、好き」
言ってふっと空気を白く変える熱い息を吹きかければ燐はびくんと身体を震わせ、口にあてていた手を耳にもってきて押さえた。
「うっ、周!」
「しゃっくり止まった?」
「とま……っ、てない」
頬を赤らめた燐は途中でしゃっくりをしながら口を尖らせた。
「こんなところで……急に言うのやめろよ。びっくりするだろ」
「たまに言ってるだろ」
「……いま下校中!」
「告白したときも下校中だった」
「そ、そうだけど」
耳を押さえている手を掴む。
冷たい風と空気に冷えた指先を温めるように強く握りしめる。
燐はぎょっとしたように繋いだ手を見て、そしてあたりを見回す。
その様子につい吹きだしてしまう。
「焦りすぎ」
笑いながら手を離せば、周りを気にしたのに寂しげに視線を寄越す燐がいて心が和んだ。
「べ、別に……イヤじゃないんだからな?」
「知ってるよ。いまは外だしな。かわりに燐のしゃっくりが止まるまで好きって言い続ける」
「え!? い、いいよ! 恥ずかしい」
目を泳がせて俺から視線を逸らす燐にまた大きく吹きだしながら俺は囁きつづけた。
あの告白した日から半年。
移り変わった季節を感じながら。
―――好きだよ、と。
呆れるくらいにずっと繰り返しづつける俺に、
―――もうしゃっくり止まった、と。
困ったように燐が笑って。
「俺も好き」
と俺に笑顔をくれた。
【おわり】
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