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第47話
適当に挨拶も切り上げて、例のアレのために彼に頼みごとをしなくては。
「あのさっ、ちょっとキッチン貸してくれない? あと材料も買いに行きたいんだ」
彼は朝食の支度をしながら、背中越しに「What?」と聞き返してくる。
キッチンとの境のガラス窓を開けてもう一度言う。
「キッチン借りたいんだ、パン作ろうと思って」
改めて言うと、ミルク入りのガラス瓶を持った彼の手が止まった。
「おいマジかよ!ついにあのニーサンパンが食えんのか!」
しまいにAmazing!とか言いながら超いい顔で笑ってる。
「そんな大したもんじゃねーって、ただのパンだから」
「俺にしてみりゃ、アニメの中の食べ物が目の前に出てくるようなもんさ!」
「だから例えがおかしいって」
俺にはただのライフワークだけど、ネットの世界で知った奴にはそう感じるのかもな。
いつ作るんだ?と子供みたいに目を輝かせている。
「材料買ったらすぐ作れるよ、今日でも明日でも」
「じゃあ朝食食べたらさっさと買いに行くぞ!ちょっと離れたところにスーパーマーケットがあるからな!」
この島のスーパーで物が揃うのか心配だったけど、聞けば欧米に数店舗あるセレブ向け超高級スーパーだそうだ。なら大丈夫かも。
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