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第2話 告白 1-2

「西岡先生、あなたが好きです」  優しい低音が先ほどの耳に障る音をかき消した。綺麗でよく通る声だと思った。きっと彼にそう告げられれば、大抵の子たちは頬を赤らめ頷いてしまうだろうとさえ思う。  だが――残念ながら僕は同性に恋情を覚えたことは一度もない。 「い、いや、気持ちは嬉しいけど……僕は」 「先生、いま答えを出さないでください。少しだけでいいから考えてもらえませんか。そのあとに断られるのなら受け入れます」  僕の返事は間髪入れずに遮られた。  こういうことをあまりずるずると引きずりたくないほうなのだが、藤堂の真剣な面持ちに言葉が詰まる。 「え? ああ、うーん、いやけど」 「男に告白されるなんて、気分のいいものじゃないでしょうし、断られるのはわかっていました。でもほんの少しでもいいので、考えてもらえませんか」  また一歩踏み込まれ、そらしかけた視線を正面に向き直された。どうにも彼の瞳は優しげに見えて力強い。 「なんで? 藤堂なら女の子にも普通にモテるだろ? 僕なんかじゃなくても同年代で好きな子はいないのか」  そう疑問を口にすれば、藤堂の瞳がわずかに揺れた。 「昔から、女性に興味が湧かないんですよ」  どこか自嘲気味に笑った藤堂のその表情に、思わず僕はうな垂れるように片手で額を押さえ俯いた。 「悪い、余計なこと聞いた。うん、そうだよな。うん、いまのは僕が悪かった」

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