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第27話

──ガンっ 何故かいきなり山田君が机におでこを打ち付けた。 「んんんんんっ!!」 「え!?ど、どうしたの!?」 「可愛いっ!今のめっっっちゃ可愛い!!」 「え、え?」 山田君の言ってることが理解出来なくて、困惑するしかない。 (可愛い?俺が?) よく分からないけど、今はとにかく山田君のおでこが心配だ。結構大きな音だった。赤くなったおでこに手を伸ばしたけど、それは目的に達することなく、掴まれてブンブンと振られてしまう。 「良いに決まってるだろー!幸せになろうよ!てか俺が幸せにする!!」 「え、う、うん。ありが、とう?」 山田君の声が大きすぎて周りの注目の的。山田君の友達から「なに山田、プロポーズ?」なんて揶揄われたりして赤くなった俺とは逆に、山田君は「そうそう」なんて言ってニコニコしたままだ。 「なんか、望月の新しい顔いっぱい見れて嬉しい」 「え」 「今度はさ、笑顔見たい」 「笑顔?」 「うん。きっとめっちゃ可愛い!」 (笑顔……) 笑顔は苦手だ。 中学校の卒業写真でも、自分では笑ってたはずなのに実際はヘンテコな顔だった。 (でも、そうだよね) 俺が山田君や先生の笑顔を見たら心が晴れるように、相手だって同じはず。俺が笑顔でいることで、相手が少しでも楽しい気持ちになれるなら、笑顔でいた方が良い。 (そしたら先生も、もっと笑ってくれるかな……) 先生の優しい微笑みを思い出して、心がぽかぽかする。 「頑張ってみるね」 笑顔に頑張るも何もないかもしれないけど、山田君と繋がったままの手をぎゅっと握って意気込む。そんな俺に、山田君は大きく頷いてくれた。 「おう!」

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