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第7話 告白編2
陽愛くんは俺が新任としてこの学校にきた時から、何かと気にかけてくれた先輩だ。
年上だけど、俺よりも背が低くてほんわかとした陽愛くんの雰囲気には、生徒だけでなく俺もだいぶ癒されている。
さらには、とてもマイペースで自分から率先して動かない陽愛くんが、何故だか理事長から一目置かれている理由もこの笑顔効果ではないかと噂があるくらいだ。
そんな陽愛くんの笑顔を密かに堪能していると、陽愛くんが俺に近づいてきて言った。
「遊びなら、今度僕と一緒に釣りに行こう? 一から教えてあげるし。あ、登山で朝日を見るのも綺麗だよ」
「おじさんこそ、何ちゃっかり誘ってんの」
陽愛くんの発言に、オキが素早く反応した。
「僕は雪くんを『遊び』に誘ったの。何か問題でも?」
「よく言うよ。登山で朝日って……下心ありありなくせに」
「あからさまなオキよりマシだろ」
「ちょっと二人とも……」
可愛い二人が言い合っているとまるでじゃれ合っているかのようで、俺はこのまま目の前の光景を見守るか迷いながら声をかけた。
すると、いきなり二人が同時に俺の方へと向く。
「雪くん・ちゃんは、どっちを選ぶの!」
「ええ~……」
いきなりの問いに俺は困ってしまう。
どっちを選ぶも何も……今のこの質問って何に対してのだ?
本題を見失って、俺が何も答えられずにいる間にも二人は並んで俺を見上げてくる。
癒し効果がありそうな陽愛くんの優しい顔と、さっきの色気が嘘のように普段は隠されている小動物のようなオキの愛らしい顔。
この二つの顔が並んで俺を見上げてくる姿は……可愛すぎるだろ。
二人に詰め寄られ、さらに俺が混乱していると助け船かのようなタイミングで職員室のドアが開いた。
「おはようございます」
割と低めのテンションでそう言って入ってきたのは涼介だった。
涼介は俺の小学生の頃の幼馴染みで、小さい頃はよく一緒に遊んだりしていた。
でも、成長して一人暮らしなどを始めてしまうと会う機会も少なくなり、去年、涼介がこの学校へと採用になった時には本当に驚いたのを覚えている。
なんせ、面接もせずに履歴書だけで理事長が採用を決めたものだから、当時は職員室が涼介の話題で持ちきりになってしまったのだ。
そんなエリートを幼馴染みに持つ俺としては、誇らしいやら、ちょっと悔しいやら複雑な想いだ。
「何やってんの? みんなで」
自分の机に向かってきながら涼介が聞いてきたので、俺達の間にあった変な空気が途切れた。
このチャンスを逃さず、俺はついつい見惚れてしまった陽愛くんとオキから顔を反らす。
「ナイスタイミング! 斎藤先生」
「は?」
俺からの感謝も、涼介にはなんのことだか解らず困惑したように聞き返された。
「どういうこと? 土方先生」
「いや、何でもない! それより、今日は早く起きれたんだな」
まさか、二人が俺をデートに誘うことで揉めていたなんて言えるわけがないので、俺は話を誤魔化すために涼介にそう言った。
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