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第9話 〜拾った少年〜(煌騎side)
「それで? 煌騎その子、マジでどうする気だ?」
腕に抱く餓鬼が深く寝入ったのを見計らって、長年連んでいる仲間で俺の親友でもある和 之 が真剣な面持ちで声を掛けてきた。
その言葉を聞く限りでは、こいつもさっきの俺の言葉をそのまま信じてはいないようだ。
見ると流星や虎汰、朔 夜 なんかも神妙な顔つきになり、俺たちの周りを取り囲んで様子を窺っている。
さすがにこいつらに誤魔化しは通用しないかと口端を僅かに上げ、自嘲気味に笑いを零す。
仕方がないので俺は少しネタバラしをする事にした。
先ほど車の中で気が付いた事を……。
「このままここに放置するワケにもいかねーだろ。それに……」
こいつらにも見えるよう腕に抱く子供の丈の長いワンピースの裾を捲り上げ、右足首を少しだけ覗かせた。
――――瞬間……、
「「「「―――…ッ!!?」」」」
和之らが息を呑むのが分かる。
奴らの目に映ったモノ、用途は様々だが主に獣や何 か を拘束し、それらの自由を奪うもの……。
つまり俗にいう“足 枷 ”というヤツが小さい右足首にはあった。幼い頃に付けられたのだろうソレは、既にサイズが合わなくなり細い右足首を更に細め、痛々しく肌に食い込んでいた。
それに靴も履かず森林の中を駆けずり回っていたのか、裸足の足は小石や小枝なんかで深く傷ついている。
他にも子供の身体は衣服で見えない場所も含め、痣や裂傷だらけでボロボロだった。
「―――ンだよッ、コレッ!!?」
「……もしかしてこの子、誰かに監禁されていたのかな」
「マジかよ、あり得ねぇ……っ」
「正気の沙汰じゃねーよっ! こんなにちっこいのに……ッ!!」
憤りを感じながら口々に「許せねぇっ」と声を荒げて言う虎汰や流星たち。
まるで自分のことのように怒りを露わにする。
イイ仲間を持ったなと内心思い、俺は誰にも悟られないようこっそりとまた口角を上げた。
「とりあえずこいつは倉庫に連れて帰る。いいな?」
そう問うと4人はさも当然というように強く頷いた。だが神妙な面持ちもここまで……。
こいつらはまたいつもの調子に戻る。
「……で、どうするよ?」
「そりゃ~当然、俺たちでこの子助けちゃう?」
「……………フッ、」
何か企んだように流星が言うと、虎汰や和之らも質 の悪い笑みを浮かべて次々に賛同し始めた。
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