16 / 17

Ⅲ 知らない内に溺れたみたい② 【完】

ここは生徒会室の真下にある資料室 部外者は入れない。 眉目秀麗の黒髪青年は誰? 俺を見下ろす、深層に氷の針を突き刺す瞳 ……どこかで見たような気がするんだけど~。 「ベル様、ご立派になられまして」 「………って★チビッ子なのーっ」 なんで、チビッ子急成長したんだ? 牛乳飲み過ぎか? 「パートナーの絆が深まる事により我は育つ。この調子で絆を深めて我を育てよ」 そうなの~★ 「ご心配には及びません。俺たちは心を通じ合わせております」 「うんうん」 モドキをやっつけたコンビネーション、バッチリだもんね。 「キスも交わしましたので、次の段階に進む予定です」 「うんうん」 ………次の段階? 「って、なに?」 「鈍い奴だな」 チュッ 耳朶に唇を落とされて、熱い吐息がひだを舐めた。 「当然セックスだ」 ………………はい~ッ?! 「なんでそうなるんだっ」 「俺にキスされても嫌じゃなかったろ」 「………うん」 頷いた俺、耳まで赤い。 「決まりだ。お前が応じてくれないと、俺の願いも叶わない」 「そう言えば、飛鳥の願いって?」 ベルの投げた本を飛鳥がキャッチする。 この本だけ、埃だらけの資料室で唯一埃を被ってない。 「読み込んだからな」 飛鳥が見せてくれた本は…… 「オメガバース?」 「Ωという性別になると男でも子供が産めるらしい」 利器を与えて怠惰に人間を陥れる悪魔 ベルフェゴール様の力を借りる事にした。 「大和、ベル様の力でΩになれ!」 「嫌だァッ」 俺はっ。 「普通のセックスじゃないと嫌ァァー!!」 「つまり、それは……」 Ωじゃない 「今の大和のままでセックスしたいという事だな?」 反論は全部、吸い取られて飲み込まれた。 唇を塞いだ、あたたかな唇 「可愛いぞ」 チュッ 俺は悪魔よりも厄介な天使に見初められてしまったらしい。 だって、こいつは悪魔のキューピッドが結んだ運命のライバルで、パートナーで…… 将来の『番』予定 拒絶できない俺も、魔力にやられちゃってる。 チュッ これからも一緒に悪魔育てような! ―完―

ともだちにシェアしよう!