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彼方の気持ち

歩叶君の過去は悲惨なものだった自分の過去とは比べものにならないくらい… 頬に暖かいものが伝う。 「なんで彼方が泣いてんだよ」 そう、僕は泣いていたんだ。 「なんか…ごめ、ん…僕より歩叶君の方が泣きたいよね…」 「すんげー嬉しい」 そう言いながら僕に近づいてきた。 そして僕の体を歩叶君の大きな体が包んだ。 それと共にぶわっと涙が溢れた。 「何?抵抗しないわけ?もしかして俺あとで体十に消毒液かけられる?それは嫌だな…傷に染みるよ…もう、動けなくなっちゃうよ…っ…」 だんだんと歩叶君の声が震えて、掠れていく。 「ッ…こんな過去話して他人に泣かれると思わなかった…」 ホントに嫌という気持ちが全くない… まるで避けるということを忘れているようだった。 肩が濡れていく あぁ、彼は泣いているんだ… 僕からも体をギュッと握りしめる。 彼なら平気なのかもしれない。

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