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ナレーション:今やカオスなドタバタ死に物狂い時代! ところにより公認・非公認ヒーロー・ヒロインがべら棒に熱い! 彼等は今やアイドル並みの人気ぶりで帝国民の心をぎゅぅぅぅんっと鷲掴みにしている! しかーしそれと同時に! 敵対するヒールも人気急上昇中の模様! 「だりーけど狐党来ちゃいましたー」 「とりあえず隣の奴蹴っとこ」 「動画UPすんなら男前アングルなこの角度からとってねー」 悪の組織<狐党>は混沌フェチの悪フザケ集団と見せかけて実は不正茶番偽善を蔑む真っ当な社会批判過激グループである。 彼等は派手目立つ騒動を頻繁に起こしてはメディアに大々的に取り上げられ、帝国民に最も知られている三大悪役の一つだ。 そんな狐党を束ねるボス。 黒スーツに黒ネクタイに狐面、他党員と全く変わらない出で立ちだが明らかに格上で濃厚な雰囲気を持ち、顔につけられた狐面が妙に男前に見える。 そんな狐党を追うのは帝国民誰もが知っている国家公認の<帝国小町>だ。 <帝国小町>とは悪の組織<狐党>から日本帝国民を守る少女五人で結成されたヒロイングループのことだ! かわいいだけじゃないないなーい! 超人パワーを秘めたる、どきどきらぶらぶガールズ戦隊なっのっだっ! 「なんっと! 今日はその<帝国小町>をスタジオにゲストとしてお招きしておりまーす! ではまず佐藤ヒロイン、自己紹介を!」 「うわっ、あ、ハーイ、コーヒーには必ず小さじいっぱい入れてね、佐藤なり!」 「あれ、なんか今日ハスキーボイスじゃないですか?」 「ゲホゲホッ! テっテレビとか、しかも生って初めてなんで、緊張して喉やられちゃいましたー、テヘ」 そりゃー濁り声だろーよ……だって俺、佐藤じゃねーもん、超人パワーなんて縁のない一般DKのコーイチだもん。 俺は本物佐藤の替え玉だ。 本物佐藤は迷走の果て<小町>を勝手に脱退し、ヒロイン界からトンズラしたのだ。 <小町>の過激慈善活動を支える支援部、そこの人にスカウトされた俺は渋々たまにだけ佐藤のフリをする。 まぁね、渋々とか言いつつ、あれですよ、お金につられてですよ、デヘヘ。 しっかし夜のゴールデン枠で生放送バラエティかよ、ヤベー、それ考えたら足竦んじゃうわ、なるべく無でいよう、無で。 なんか支援部を支えるお偉いさん、いわゆるオトナタチのために<小町>総出でこの番組に出演しなきゃいけなかったんだと。 だけど、そもそもこの替え玉作戦自体がドロドロしてるっつーか。 ヒロインの佐藤がトンズラしたことを公表すれば正義の味方的に大打撃だ、それを世間に隠すために俺を使ってるわけだから。 あれ、んなこと考えてたら余計また怖くなってきた、ヤベ―、みんなの後ろに隠れてよっと。

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