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、
見られてる
…………環に見られてる
それだけで体が勝手に熱くなる
キスするくらい近い距離
お互いの心臓の音が聞こえる
「…………ん」
「こら。碧。しー」
『しー』じゃない!!
じゃ、手を止めろ!!
どうしよう
なんか変な気分になってきた……
でも、環の手が温かくて…………
俺を見つめる環の目が熱くて…………
環をボーッと見てたら急に手を離された
「ハイ。時間切れ!碧、行こう。」
急に現実に戻る
電車のドアが開き、手を引かれて降りる
「人が多いから気を付けろよ」
フラフラしてた俺に何事もなかったかのように環が言う
カバンで隠してたら笑われた
「今からトイレで手伝ってあげようか?」
「行くか!放っときゃ収まる」
「お、お前なぁ!!やって良い事と悪い事があるだろ!!電車で……」
「碧」
ハッとすると俺の大声のせいで周りから注目を浴びてる
「お説教は後で聞くよ」
…………悔しいけど仕方ない
「二人だけの秘密」
また、阿呆なこと、言ってる
そして、俺の波乱の一日が始まる
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