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「次、実験だから準備手伝ってくれる?」 化学教師がボクに声をかけた。 「はい、先生」 ボクは笑顔で返事をする。 ボクは学校では学級委員長を務める優等生だ。 どこからどう見ても完璧な優等生。 学校行事やボランティアにも積極的に参加し、教師からの頼みごとはなんでも聞いた。 優等生で居られる学校は、ボクにとってそれなりに楽しい場所だ。 「お前ほんっと、よく先生にパシられるよな」 席の近いクラスメイトが声を掛けて来る。 「パ、パシられるなんて……。  ボクが好きでやってる事だからいいんだよ、別に」 「それに不登校の……名前なんだっけ?丹下だっけ。  丹下ん家もよく行ってるんだろ?ノートとプリント渡しに」 「光とは小学校の時から一緒で、家が近いからね」 「ふーん。まあなんでもいいけど、ちょっとやりすぎじゃね?」 「なにが?」 「不登校のヤツの分のノート取ったりとか、普通しないって。  なんでそこまですんの?」 「え……」 「ぶっちゃけちょっと気持ち悪ぃよ」 ――気持ち悪い……?ボクが? 「クラスのヤツ、みんなそう思ってるよ」 それだけ言うと男子生徒は去って行った。 ボクが気持ち悪いだなんて酷い。 ボクはただ、誰かの役に立っていたいだけなのに。 それなのにどうしてそんな酷い事が言えるんだろう。 光の『成長』も、さっきのクラスメイトの発言も、最近なんだか嫌な事ばかりだな……。

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