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第1節 不運
孝洸は自分の幸運さに呆れていた
毎年、年末に恒例行事のように宝くじを仕事納めの日買った日のことだった
こんな 大金当たるなんて思いもしなかった そう誰もが!
一等 5億円……
あぁ本当に会社やめてやろうかな……
でも今、仕事が趣味になっているのでやめたらだめだ
そんなことを思いながら帰路にいついていた孝洸はふと自分が手ぶらなことに気づいた。
そう スラれていたのだ
もといた道に戻ってもなく
あのカバンには当選券がはいっているのだ なんとしてでも探さなければならないが
ない……ないない!
「あ、あの! これあなたのですよね!」
ふと振り返ると大学生らしい 全身真っ黒な、人が肩を叩いた。
それは自分がおとしたビジネスバッグだった
「あ!!!! そうだよありがとう!」
「それはよかった!」
「あぁそうだ! なにかお礼を……」
「いいですよ 僕もう 行かなきゃ行けないんで!」
と彼は繁華街へと姿を消した
つぎの日、どうしても彼にお礼をしたい気持ちが収まらない中、職場の近くのカフェで一服していた
ここは大学も近く、学生を見ることも多い、もしかしたら会えるかもしれないと期待を膨らまして2本目を吸おうとしたら
大学生らしき集団が魅せの中へと入ってきた。
皆何度かお洒落で、カラフルだったのにひとりだけ真っ黒……
昨日の彼だ!
向こうもこちらに気づいてくれ、自分の席へとやってきた
「本当に昨日はありがとうございました」
「いえいえ」
そ、そうだ!!
「昨日のお礼したいんだ なにか好きなの頼んでいいよ」
「えっ!いいんですか!んーじゃぁ えぇー抹茶オレがいいです」
「ん〜!美味しい 抹茶オレ美味しい」
幸せそうな顔でごくごくと飲み干す
そんな時、ふと思う こんなことで5億円の恩返しになるのだろうか……と
「ご馳走様でした!」
「美味しいかった?」
「そりゃ 勿論!」
「よかった」
「そう言えば お名前なんていうんですか?失礼でなければ 教えてほしいです 」
「いいよ それぐらい俺は 門脇 孝洸」
「孝洸さんですかー あっ僕は 坂上しおんっていいます しおんって平仮名なんですよ」
とテンポよく会話が進み
坂上くんは近隣の大学生で芸術学部の学生らしい 今日来た仲間も学部の友達だそう
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