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「わー……すごい」  温泉は何度か来ているけれど、貸し切り風呂は始めてだった。思った以上に広くて外の景色も見渡せるものだから、感激してしまう。  ささっと身体を洗って、そして湯船に入る。程よい温度のそれに足を入れると、じーん、としびれるような心地よさが伝わってきて思わず声をあげてしまう。智駿さんはそんな俺を見て笑っていて、俺より先に肩まで浸かってしまっていた。 「あー、すっごい気持ちいい。寝そう」 「いや寝ないでくださいよ」  ぼんやりと景色を眺めている智駿さんの横にくっついて、俺も温泉を堪能する。涼しい空気と程よく熱いお湯の差がまた心地良くて、本当に心地よい。 「梓乃くん、こっち」 「ん……」  智駿さんが俺の腰を軽く引き寄せてきた。俺はそのまま抗うこともなく、智駿さんの脚の間に移動する。智駿さんの体を背もたれにするような形で、だらんと身を預けた。 「……なんか、すごく幸せです」  いつも、一緒にお風呂に入るときもこの体勢をとることがあるけれど、温泉でやると窮屈感がなくて本当にリラックスできる。後ろから智駿さんに抱きしめられて、頭を智駿さんの肩に預けて……うっとりしてしまう。 「ずっとこうしていたいです」 「うん……」  ほんの少し身じろぐだけでちゃぷっと音をたてるお湯が雰囲気をだしている。遠くに見える美しい緑の木々と済んだ空が、湯気で霞んでなんとも非現実的だ。普段は味わえないゆったりとした空間の中で智駿さんと一緒にいると、このまま時が止まってしまえばいいのに、なんて思ってしまう。 「あっ……」  智駿さんが俺の首筋にキスをしてきた。ちゅ、と肌を吸い上げてきて、俺の身体はぴくんと震えてしまう。 「ち、智駿さん……ここで……するの……?」 「しないよ。触るだけ」 「ぁんっ……」  ここでエッチしたら、お湯を汚してしまうかもしれない……そう思ったけれど、最後まではしないっぽい。でも俺は感じやすくて智駿さんに触られるとチンコからどんどんエッチな汁を出しちゃうから、触るだけでもなかなかに危ない。  事実俺は……首にキスマークを付けられているだけで、ものすごく感じていた。温泉で温まってほかほかとした皮膚をちゅうっと座れると、アソコがきゅうんっと収縮する。ものすごくリラックスした状態でいるから、本当に気持ちよくてとろん……としてしまって、いつもよりも感じやすいかもしれない。 「あっ……あっ……」 「梓乃くん……顔、とろとろ」 「あぅ……」  首に痕をつけられながら、乳首のてっぺんを指でくるくると撫でられる。ゆっくり、くーるくーるとされると、ぞくぞくってして脚がもじもじしてしまう。俺が身じろぐたびにお湯がちゃぷっと音をたてるから、なんだか恥ずかしい。

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