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多忙を極める智駿さんだけれど、ようやくしっかりとした休みがとれたらしい。俺のアパートまで来てくれて、一緒に過ごすことにした。
智駿さんは泣き付くようにして俺に抱きついてくる。俺はよしよしと智駿さんをあやしてやって、疲労困憊の智駿さんを癒やすことに尽力した。
「梓乃くん……あー……梓乃くん……」
「智駿さん、大丈夫ですか……?」
智駿さんは疲れていたからか、お酒の進みが早かった。普段、智駿さんはそんなにお酒を飲まない。飲んだとしても、コップ1杯とか2杯とか、その程度だ。それなのに今日は缶を3本4本と開けていくものだから俺もびっくり。妹から渡された「いつもお兄ちゃんがお世話になっています」のお礼である味噌漬けクリームチーズも、するすると平らげてしまった。
智駿さんはぐいっと俺に体重をかけてきて、俺の首元に顔を埋める。すーっと匂いを嗅がれて、恥ずかしくて顔が熱くなった。俺、汗臭くないよな、大丈夫だよね?
「ち、智駿さん……ベッドで寝たほうがいいんじゃないですか。ぐでぐでですよ」
「んー……ベッド……?」
ぐわっと視界がひっくり返る。床に押し倒されてしまった。
「ここじゃ、だめ……?」
「え、何が?」
智駿さんがふふっと笑った。そして、かぷっとかぶりつくようにして俺の唇を奪う。
「んーっ」
キスは嬉しいけれど。嬉しいけれどっ!
俺はぐーっと腕に力を込めて、智駿さんを押し返す。
「智駿さんっ、お酒くさいですよ! やめときましょ――んーっ!」
智駿さんは俺の制止をきかずに、またキスをしてきた。そして、俺の服のなかにもぞもぞと手を突っ込んでくる。
「ま、待っ……あっ」
智駿さんは酔っ払っているからか、体が熱かった。ぽかぽかになった手で体をまさぐられて、気持ちよくて、つい智駿さんを受け入れてしまう。酔っ払った智駿さんは休ませてあげたほうがいいのにって思うのに、気持ちよくて我慢できない。
智駿さんが熱くなった指で、俺の乳首をきゅっとつまんできた。酔っていて焦らす余裕がないのか、いきなり、きゅうっと。途端にきゅんっと強い刺激が走って、俺の身体はびくびくと震えてしまう。
「やぁっ……!」
「ふふ、梓乃くん……可愛い……大好き」
「だめ、だめですよぉ……智駿さん……あぁっ、あぁんっ」
両方の乳首をきゅっきゅっとつまむ。お酒で酔った智駿さんは顔が赤くて、瞳が少し潤んでいて。まるで……エッチをしているときのような顔をしていて……そんな智駿さんに見つめられながら乳首をいじめられて、俺はすっかりエッチをしているときの気分になってしまった。
俺が抵抗がやめれば、智駿さんが俺の乳首に口を寄せる。そして、ぱく、と吸い付いて、舌の先でくりくりとこねくり回してきた。もう片方の乳首は、指でひっぱって、ぐりぐり。
「あぁー……ぁ、あ……あぁああ……あー……」
俺は目を閉じて、智駿さんから与えられる快楽に酔いしれていた。
智駿さんの熱い身体に脚を巻き付けて、無意識に腰を揺らしてしまう。熱くなってきた下腹部を智駿さんの身体にこすりつけると、気持ちよくてたまらない。じんじんと甘いしびれが全身に響いて、いやらしい気持ちが加速してゆく。
「智駿さん……、ねえ、ちはやさん……ベッド、ベッドで……しましょ……? ベッドでいっぱい……」
「……」
「智駿さん?」
ゆる、ゆる、と智駿さんがゆっくりと動きをとめていく。そして、ぱたりと智駿さんは動かなくなってしまった。
まさか、と思って智駿さんを押しのける。ごろんとそのまま床に転がった智駿さんの顔をのぞけば――寝ている! 見事に寝ている!
「う、うそ……ねえ、智駿さん……智駿さーーーーーーん!?」
俺はすっかりその気だったのに……。
起こすわけにもいかず、悶々としながら智駿をベッドに引きずりあげるしかなかった……。
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