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「さみしい、……さみしい、から……本当は、沙良と一緒にいるの、楽しかった……友達になろうって言われて嬉しかった……だから、突き放されると、さみしい……」 「……だって俺は波折先輩のこと好きになっちゃだめなんでしょ」 「……ッ」  波折が顔をあげる。涙で濡れた瞳がきらきらと光っていて、ぐしゃぐしゃに泣きはらした顔だというのに綺麗だった。波折は言葉に詰まっている。ほら、やっぱりだめなんじゃん、と沙良は内心ため息をついた。波折にはいらだちを覚えているが、別に突き放したいわけじゃない。でも一緒にいるとどうしても好きな気持ちを抑えられないから、一緒にはいたくない。波折に「側にいて」と言われても頷くことはできない。  だから、波折の側にいるのには、条件がある。 「……キスしてもいいなら、波折先輩から離れないよ」 「……え」 「これから、俺が好きって言っても拒絶しないなら、一緒にいる」 「……っ」  波折への恋心を、彼が許してくれること。それが、一番の条件で譲れないものだ。  沙良がそれを告げれば、波折の顔がぱあっと赤らむ。まるで花が咲いたように。沙良の「一緒にいる」という言葉がとてつもなく嬉しい、それが波折からバシバシと伝わってきて、沙良は眩暈がした。波折の行動に苛々はしているものの、波折のことが好きなことには変わりない。そんなに自分を求められたら、ドキリとしてしまうもの。 「……でも、沙良……」 「……なんですか」 「……俺を好きになったら……絶対に傷つくよ」 「何回も聞いてる」 「……沙良」  沙良を見つめる波折の瞳が、ゆれる。そして、徐々に熱を帯びてゆく。 「……波折先輩。俺さ、」  沙良はハ、と吐き出すように波折の名を呼んで、その腕を掴んだ。そして扉の鍵をかけると、波折をひっぱっていき、ソファに押し倒す。驚いた顔をしている波折の上に乗り上げて……沙良はブレザーを脱ぎ捨てた。 「……さ、ら」  沙良が自らのネクタイを解いてゆく。指先は結び目にかかり、するするとネクタイは沙良の首を滑って落ちてゆく。 「――ずっと、我慢していました」  ギシ、とソファが軋む。沙良が波折の頬を撫で、髪を撫で、そして唇を撫でると波折はふる、と瞼を震わせた。波折の唇から吐息がこぼれる。熱いそれはまるで誘っているようだった。 「あっ……」  くちづける。  今までずっとずっと胸の奥にしまっていた想いを全てのせて、沙良は波折にキスをした。 「沙良……」 「はい……」 「そばに居てくれる?」 「います」 「離れない?」 「離れません」 「……沙良」  ぽろぽろと波折の瞳から涙がこぼれる。嬉しくて、嬉しくて、たまらない。そんな風に波折は沙良に抱きついた。再び唇を奪えば、泣きながら波折はそれに応えてくれる。「んっ、んっ、」と甘い声をたくさんあげて、沙良とのキスに夢中になった。 「……波折先輩、覚えてる?」 「ん……?」 「このソファで、はじめて、波折先輩と悪いことしたときのこと」 「……うん。沙良……」  波折が沙良の手をとって、自分の服の中に差し入れる。するするとカーディガンとシャツがあがっていき、そして手は胸に。すでにツンと勃った乳首に沙良の劣情は煽られる。 「……今日は、最後までしよ」

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