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「可愛い……冬廣会長……」  篠崎がいそいそと道具を取り出しはじめる。手には、ローターやバイブ。両方の乳首にローターをガムテープで貼付け、そしてアナルにローションをかけたあと、バイブをずっぷりと突っ込んだ。そして口もガムテープで塞がれてしまう。 「んんーっ……! んー! んー!」  拘束されて、オモチャで感じるところを責められて。身体はエビ反りになったり前かがみになったり、せわしない。ビクンビクンと大げさなくらいに何度も何度も跳ねて、つま先立ちの脚がガクガクと震えてくる。立ち上がったペニスからは先走りがだらだら、だらだらと大量に溢れてきて太ももを濡らし、そしてやがて床も濡らす。感じすぎて感じすぎて、おかしくなってしまいそうで。助けてと言いたいのに、口は塞がれていて唸ることしか許されない。 「んーっ! んんー……! んー……んー……」  泣いて泣いて、懇願して。それでも篠崎はニヤニヤと笑っているだけ。周りのカメラを使って波折を撮影し始める。ご丁寧に照明器具まで設置してあるのか、波折の痴態を強い光が照らしだす。ビックンビックンとひくつくアナルやびしょぬれの股間、そして泣き顔。色んなところをアップにしながら篠崎は撮影を楽しんでいた。 「冬廣会長ー……すっごくエッチですねー。またいい動画ができた。そうだ、この動画、みんなに回してあげましょうか」 「……!」  波折が目を見開いて、ぶんぶんと首を振る。そうすれば篠崎が、ハハっと笑って波折の口を塞ぐガムテープをベリっと引き剥がした。 「じゃあ、どのくらい気持ちいいかこのカメラに向かって言ってみてください、冬廣会長。とびっきりエッチにね。ちゃんと言わないと動画回しちゃいますよ」 「……っ」 ――屈辱だった。淫語を言わされるのはよくあることだし、別に嫌ではない。が、この男に言うのはどうにも好かなかった。チョコレートを使って無理やり感じさせているだけのくせに。オモチャを大量に使っているだけのくせに。セックスが下手なくせに。もの頼りの男に下るのが、悔しい。……でも、言わないと。逆らっては、いけないから。 「……気持ちいい、です……あっ……おかしく、なっちゃいそう、なくらい……」 「……まだまだ言えるよね、会長……鑓水くん相手のとき、もっとすごいこと言ってませんでした?」 「……っ、イッちゃいそうです……気持ちよすぎて、イッちゃいます……! ゆるして、篠崎くん……!」  何を言えばいいのかなんて、わからない。慧太は上手だから自然とああいう言葉がでてくるんだよ! と波折は心のなかで叫ぶ。いくら身体は感じていても、篠崎への嫌悪感が募りすぎて頭は冷静だった。  何とか絞り出した言葉は、篠崎のお気に召しただろうか。正直、彼を相手にこれ以上の言葉は言えそうにない。波折はぼろぼろと涙をこぼしながら、篠崎を見上げる。 「……まだまだかなって思いますけど……まあ、いいか」 「……っ、」 「で、冬廣会長……気持ちいいんですよね? もっと気持ちよくさせてあげます」 「そ、んな……もう……」  もう、無理。心と身体が乖離している。こんなにも嫌なのに、感じてしまっているのが苦痛でたまらない。縄がぎしぎしときしんで、身体ががくがくといって。勝手にこぼれてくる自分の嬌声が、やかましい。  虚ろな目で、篠崎をみつめていれば、彼はまた新たな道具を取り出す。それをみて、波折は息を呑んだ。鞭だ。先端が数本に分かれている、バラ鞭と呼ばれるもの。一度、波折は「ご主人様」にそれを使われたことがあった。しかし、「ご主人様」は波折の身体に傷がつかないようにと、そこまで強く叩いてこなかった。バラ鞭は一本鞭と比べれば痛くはない。しかし……篠崎が使ったらどうだろう。今の、まともな理性を持ち合わせていない彼が使ったら…… 「あっ……いや……」 「バイブもマックスにしてあげますね」 「いや……あっあぁああっ……!」  鞭を持ちながら、篠崎は波折に取り付けたローターとバイブのスイッチを最強まであげた。ぶるぶると震えながら達した波折を……篠崎は、パァン! と鞭で叩く。 「ひぁっ!」  突き出された尻に、何度も何度も。パァン! パァン! と激しい音が部屋に鳴り響く。叩かれるたびに鋭い痛みが走って波折は身体をビクつかせたが、同時にオモチャの刺激による快楽も迫ってきて、わけがわからなくなる。悲鳴なのか嬌声なのかわからない声を、波折は泣きながらあげていた、 「やぁっ!」 「鞭で叩かれても、可愛い声だすんですね……ほら、もっと強く叩きますよ!」 「ひぃっ! いやっ! あぁっ!」 「もっといやらしい声、出してください!」 「いたいっ……! あぁあっ! はぅッ!」  波折の尻が真っ赤に染まる。白い肌に紅い跡、絶妙なコントラストに篠崎は恍惚とした笑みを浮かべた。 「……もう、……いや……」 「何か言いましたか?」 「……いいえ」 「もっと叩いて欲しいんですね」 「……はい。もっと……ぶって、ください……あっ、ひぁっ!」  篠崎は徐々に加減を失ってゆく。思い切り、イイ音を出すことに必死になっているように、強く強く波折の身体を叩いた。尻の他にも、色んなところを叩いてゆく。全身に跡がついてしまって、その体は痛々しい。篠崎は波折が嗚咽をあげながら泣いているということにも、気付いていないのかもしれない。 「う、う……」 「あんなに甘い声をあげて……そんなに鞭でぶたれるのが気持ちよかったですか?」 「……っ、きもち、よかったです……」 「それはよかった……そろそろ挿れて欲しいでしょう、こんなにここヒクヒクさせて」  篠崎が波折の後孔にささったバイブをぴんっとはじく。波折は全身の痛みに浮かされて、もはやそこの感覚もよくわからなくなっていた。ズルリとバイブが引き抜かれ、篠崎のかたくなったものが押し当てられる。がしりと尻肉を掴まれて、一気に奥まで貫かれて、波折の身体はビクビクッと仰け反った。 「ぁあっ……!」  ガクン、と身体が大きく揺れる。波折の苦しそうな反応などお構いなしに、篠崎は抽挿を始めてしまった。吊るされている身体は、突かれるとゆらゆらと揺れて、辛い。篠崎はガツガツとひたすらに腰を振って、波折の奥をズンズンと突き上げる。 「あっ……うっ……あぁっ……!」 「冬廣会長のなかっ……すごいです……しめつけて、くる……!」  一突きくらうたびに、吐き気がこみ上げてくる。チョコレートを飲んでいなければ、悲鳴をあげて暴れていたかもしれない。それくらいに、気持ちよくない。身体は一応快楽を感じているのかビクビクと震えてはいるけれど、苦痛でしかなかった。早く終わってくれとずっと思っていた。  そのうち慣れるのかな、とか。こんなレイプまがいのセックスも気持ちいいって感じられるようになるのかな、とか。そんなことを考えているうちに、篠崎はなかに精液を注ぎ込んでいた。びゅるるっとひとしきり出すと、引きぬいたペニスを波折の口に押し当ててくる。 「……」  篠崎のものを咥えて、涙を流しながら。この苦しみから早く開放されたいと祈るばかりであった。

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