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第十四章
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学園祭のスケジュールは、金曜日に前夜祭、土日に学園祭……といったものだ。生徒たちは着々と準備を進め――ようやく、前夜祭がやってくる。前夜祭はステージ発表と花火大会がメインとなっている。
「沙良ー」
「はい、なんでしょう」
もうすぐ前夜祭が始まる、ということで生徒会と文化祭実行委員、それから花火大会で強力してくれる美術部員たちが裏で準備をしている。そんななか、波折がすっと沙良に寄ってきて、尋ねた。
「今日から文化祭終わるまで沙良の家に泊まっていい?」
「えっ」
そうすれば、沙良はきょとんとしてしまった。自分から泊めてと言ってくるなんて珍しいなあ、と。しかし、横で聞いていた鑓水が驚いたように波折に詰め寄ってくる。
「し、篠崎は? いいって?」
「沙良の家学校から近いから、学園祭の期間は沙良の家に泊まらせて、っていったら許してくれたよ。生徒会は準備大変だからって。沙良とはやましいことないから! って」
「べ、べつに近くはないですけどね。いや、ぜひ来てください! 」
波折が毎日篠崎の家に行っていると知っている鑓水は、週末は波折が篠崎から解放されるとわかってホッとしていた。しかし、波折がくるとわかりるんるんとしている沙良の横で、鑓水はうーん、と唸った後、笑う。
「……神藤ー。俺も行っていい?」
「……はいっ!?」
「いいじゃん、学園祭の期間。生徒会同士仲良くしようぜ」
「い、いいですよ!」
思いにもよらない申し出に、沙良はぎょっとしてしまった。波折も予想外、といった風に笑っている。
この週末は大変なことになりそうだ。篠崎から解放されて清々したといった顔をしている波折と、楽しげに笑っている鑓水、そして沙良はそんな二人をみて不安げな表情を浮かべるのだった。
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